特別養護老人ホーム3施設で、2か月以上1年以内に死亡した入居者11名を看取った家族15名を対象にインタビュー調査を行った。面接内容をColaizziの現象学的分析方法を用いて質的帰納的に分析した。分析の結果、特別養護老人ホームで入居者を看取る家族の経験として、「入居者との絆の実感」「入居者のために自分にできるケアの模索」「職員や同室者との折り合い」「医療処置と看取りの場の選択における葛藤」「大切な人を失っていくことへの対処」「入居者の人生と看取りの意味づけ」の6つのテーマが導かれた。看護職は、入居者を看取る家族の模索や葛藤を理解し、家族が入居者の人生や看取りをより満足感をもって振り返ることができるよう支援することの重要性が示唆された。 また、同施設で入居者を看取った経験のある職員ら(看護職、介護職、相談員)へのインタビュー調査を行った。うち、介護福祉士7名への面接内容を分析した結果、「小さな変化から終末期を予測し、覚悟を決める」「入居者の意思が分からず、ケアに確信が持てない」「生活の視点から多職種と協働する」「長い間ケアした入居者を奪われる」「家族が悔いなく看取れるよう見守る」「最後まで介護職として入居者に寄り添う」「入居者の死を受け止め、ケアを振り返る」「自らの死生観と職業意識を揺さぶられる」「入居者・家族への日々のケアを大切に思う」の9つのテーマが導かれた。入居者の生活を支え、その死を看取る介護職員への支援、看護と介護の連携のあり方への示唆が得られた。 さらに、米国の高齢者のへのエンド・オブ・ライフ・ケアの教育プログラムへの参加と、米国の高齢者施設での終末期ケアに関する情報収集を行った。看護職には、質の高い知識・技術とコミュニケーション能力、高い倫理観が求めれており、上記の研究成果を踏まえた教育プログラムの開発が必要である。
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