研究実績の概要 |
わが国は超高齢社会を迎え、さまざまな健康障害をもって生活する高齢者が急速に増加している。身体機能や認知機能の低下から何らかの支援が必要な状況にある高齢者が、今後ますます増加すると予想される。近年の医療制度変革に伴い、医療、介護を必要とする在宅療養高齢者が増加している。在宅療養高齢者における地域医療福祉の連携サービスの評価を明確にすることは、「地域医療福祉の発展」に有益であると考える。そこで、本研究は在宅療養高齢者を対象に地域医療福祉の連携によるサービスの満足度,満足度に関連する要因を明確にすることを目的とする。 A県内4ヶ所の通所リハビリ施設を利用している高齢者210名を分析対象とした。「日本語版Client Satisfaction Questionnaire8項目版(以下CSQ-8)」得点を従属変数、個人背景「性別、年齢、介護保険利用期間、同居家族の有無、公費受給の有無、住環境、不安(社会の変遷、自身及び配偶者の健康)、医療と福祉間及び福祉間での情報共有に関する思い」を独立変数としてt検定、一元配置分散分析にて解析した。 尚、本研究は、所属機関倫理委員会承認(番号:13022875)後実施した。 t検定、一元配置分散分析の結果、公費受給ありの者(p=0.017)、病気、治療に関する情報が医療と福祉で共有されていると思う者(p=0.040)、病気、治療に関する情報が福祉間で共有されていると思う者(p<0.001)、療養意向に関する情報が医療と福祉で共有されていると思う者(p<0.001)、療養意向に関する情報が福祉間で共有されていると思う者(p<0.001)、自身の健康に不安がない者(p=0.047)が有意にCSQ-8の平均得点が高かった。 本研究結果から、地域における医療と福祉が在宅療養高齢者の心身の健康状態および今後の療養意向を現行以上に把握、共有し、連携を強化していく必要性が示唆された。
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