生活習慣病予防のためのプログラムに参加した者は、行動変容の過程で、健康と生活との関連に気づき、健康への価値観を高め、生活の中に健康の視点を取り入れることの重要性を認識していた。さらに、自身の生活習慣(ライフスタイル)を変容することで、身体的な変化を生じ、そのことを「快刺激」として捉えていることも分かった。さらに、自分の健康のみならず、他者の健康への関心が高まり、意識の拡大が見られていることも分かった。つまり、生活習慣病予防に取り組む者は、独自のQOL向上のプロセスを歩んでおり、QOLの向上と他者への関心は関連している可能性が示唆された。しかし、生活習慣病予防に取り組む者のQOLの向上プロセスを測定できる評価指標は、国内外の文献を件としても、適切な評価ツールが見られなかった。そのため、今後は生活習慣病予防に取り組むもののQOL向上のプロセスを測定できる評価ツールの開発が必要となると考えられる。また、ライフスタイルは、個人を取り巻く環境との関連も深いが、個人の変容と地域の変容を関連付けて捉えられるアセスメントの視点や技法も、未確立な状況にある。そのため、地域の現状の分析にとどまらず、地域の変容をアセスメントできるためのアセスメント指標の開発が必要になると考えられる。また、個人の変容と地域の変容が関連づいているかを確認するため、個人のQOLの向上と地域環境の変容を、関連付けてアセスメントする方法を検討していくことが必要になる。つまり、今後の研究では、地域看護診断の方法に、プロセスを評価できる視点を入れること、地域を構成する人々のQOLの向上と、地域全体のQOLとの関連を検討できるためのアセスメントツールが必要となると考えられる。
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