研究課題/領域番号 |
24792572
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
曽根 志穂 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (30381700)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 難病 |
研究概要 |
先行研究を再考した結果,在宅療養中の難病患者が抱える困難の要因として,自宅近隣にかかりつけ医がいない場合があること,必要な医療行為と看護ケアに対してサービス内容が制限されること,在宅介護サービスが不足していること,支援関係者の知識や認識に違いがあること等が抽出された.看護ケアの提供状況にはサービス事業者の量的な充足が必要であり,更には患者に必要な医療行為のレベルも大きく関わるため質的向上も重要と考えられる.また,関係者が患者を支える基本的な各制度の適切な運用方法を再確認すること,保健所・市町による患者や関係者の支援体制づくりの充実・強化等の必要性が考えられた. 保健所保健師に難病患者支援の現状を聞いたところ,保健師が定期的に関わっている患者は医療依存度が高く,主治医,介護保険,訪問看護等とともにチーム支援をしているケースがほとんどであることが分かった.在宅療養支援の体制づくりがなされていると思われるが,その中でも進行が早い,病状に個人差があるなど,疾患の特徴を十分に踏まえた支援が必要であると思われる.多種多様なサービスを調整するため、介護保険では介護支援専門員(ケアマネージャー)が個々の患者に対して支援を行っており,保健所,保健師の関わりが不要と考えられがちである.しかし,ケアマネージャーの守備範囲はあくまでも介護保険のサービスであること,ケアマネージャーが医療職以外の場合,疾患の理解や医療的対応が必ずしも十分ではないことなどから,ケアマネージャーだけでは患者支援を十分に行えない場合もある.このような状況の時には保健所,保健師がチーム支援の調整役を担う必要があると考えられ,本研究の意義があると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
従来からの研究基盤により保健所保健師の研究協力および支援が得られ,対象者の選定・紹介の依頼がスムースに行える体制であった.しかし,例年当大学地域看護学実習において県内の保健所及び市町で学生受け入れを依頼しているが,近年の統合カリキュラムでの保健師教育の動向変化に伴い,保健所と大学が考える保健師教育方針の見解の相違があり,平成23年度以降,両者の関係性に配慮が必要になっている.そのため,本研究協力依頼も少し時間をかけて先方に相談していく必要があると判断し,当初の計画が後ろ倒しになっている. 現在は,改めて本研究協力について相談しており,体制が整い次第,対象者紹介が得られる状況になっている.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,対象者を選定し,面接調査を準備・計画・実施する.面接調査のプレテストを実施し,面接技術の向上を図るとともにその内容を精査し,本調査に向けた体制づくりを継続的に行なう.【対象】①在宅療養中の神経難病患者とその家族 約5組程度.②在宅療養中の難病患者・家族に関わっている介護支援専門員,訪問看護師 各約5人程度.【データ収集方法】半構成的面接調査を行なう.①病気の発症から現在に至るまでの思いを聞く.内容は,在宅療養上のニーズ,不安や困難感負担感,在宅療養支援サービス受給の現状や課題,保健師との関わりや期待する支援等である.②関わっている患者や家族の事例を想定してもらう.内容は,関わる上での不安や困難感,負担感,在宅療養支援サービス提供の現状や課題,保健師との連携の有無や期待する支援等である. 平成26年度は,継続して面接調査を実施する.課題として,対象者の状況によっては調査の中断,中止の可能性があるため,必要時対象者の追加,変更を検討する.結果より考察し,保健師の効果的な支援方法を検討する.分析する中で適宜スーパーバイズを受け,随時フィードバックしながらすすめる.【分析方法】面接内容から逐語録を作成,コンピューターに入力し,保健師の支援方法に焦点を当てて,項目ごと,内容ごとに一次分析,二次分析をし,カテゴリー分類する.【考察方法】保健師がどのような時期にどのような介入や支援が必要であるか具体的な方法について考察する.
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集のため,モバイルパソコン,ICレコーダー,記録用メディア,事務用品の購入,さらに研究対象者への謝礼,データ収集の補助やデータ整理のためにアルバイトを雇用する人件費が必要である.研究打ち合わせと調査のための県内旅費,専門的な研修および研究成果発表のための国内外旅費として使用する.ほかに,調査用資料の印刷,通信費等使用する.
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