研究課題/領域番号 |
24792574
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
望月 宗一郎 山梨県立大学, 看護学部, 講師 (30468227)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ソーシャル・キャピタル / 保健師 / 高齢者 |
研究概要 |
24年度は,地域在住高齢者が考える居住地域に対する信頼や愛着に関連した項目を明らかにすることを目的に,調査を進めた。 A県在住の65歳以上高齢者のうち,市町村主催の住民参加型事業に参加している111人を対象に無記名自記式質問紙調査を行った。地域特性による選択バイアスを最小限にするため,ランダムに選ばれた3市町村に出向き対象者に直接説明を行った。調査項目は,基本属性,親戚・友人・近所との交流頻度,地域の生活環境に関する項目,地域の住み心地や安全性・活気,信頼,愛着,生活満足感,主観的健康感,将来に対する不安や心配等であった。 有効回答は109人(98.1%)であった。男性15人(13.8%),女性93人(85.3%)で,平均年齢は74.2±6.2歳であった。この地域にこれからも「住み続けたい」と回答した者が90人(82.6%),「住み続けたくない」が3人(2.8%),「どちらともいえない」が14人(12.8%)であった。対象者を地域への「信頼高群」と「信頼低群」の2群に分けほかの項目とクロス集計したところ,「信頼高群」は親戚や近所との交流頻度が高く,交流のある近隣者数が多いという特徴が見られた。また「信頼低群」に比べ,地域に対し「治安がよく活気があり,住み心地がよい」と答えていた。その他,生活満足感が高いこととも関連していた。次に対象者を「愛着高群」と「愛着低群」の2群に分けたところ,「愛着高群」は地域に対して「活気があって住み心地がよい」と答えており,「この地域に住み続けたい」と,有意に認識していた。 「地域の住み心地」と「活気」は地域への信頼と愛着の両方に関連しており,SCの観点から,親戚や近隣との日常の交流だけにとどまらず,地域の特徴を生かした定期的な祭り等,地域を挙げて活気の出る取り組みの必要性が示唆された。 現在は対象をさらに広げ,調査を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通り調査が実施でき,これについての学会発表も行った。ただし,調査対象が限定されているため,目的を達成するためにはさらに多くのデータを集める必要がある。この点については,引き続き実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
全国の市区町村の健康増進部門を対象に,現行の地域在住高齢者向け事業の実態把握のための郵送調査を実施する。調査項目は,介護予防事業や市担事業の内容とその効果・アンケート調査後の視察・インタビュー受け入れの可否等であるが,24年度の結果を踏まえ再構築する予定である。 上記内容を,本大学の研究倫理審査委員会に研究申請を行ったうえで実施する。 また,国内先進地の視察・インタビュー:郵送調査によって住民参加型事業に対する先駆的な工夫が見られるのが活発に行われている自治体に出向き,実施状況やプログラムの内容を明らかにする。 そのほか,平成24年度,25年度の実態調査から得られた成果について学会発表をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度には全国の市区町村に対し郵送調査を実施する予定である。そのための封筒代,切手代等に経費を要する。郵送調査実施後には行政機関のインタビュー調査及び視察を行う。調査実施の際の旅費等が必要となる。 また,データ入力のための研究補助,調査票作成のための印刷用紙,報告書作成のための印刷費,成果発表の際の旅費等に経費を要する。
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