研究課題/領域番号 |
24792574
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
望月 宗一郎 山梨県立大学, 看護学部, 講師 (30468227)
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キーワード | ソーシャル・キャピタル / 保健師 / 地域住民 / 地域包括ケア |
研究概要 |
25年度においては,地域住民への調査を前年度に引き続き行った。特に,居住地域への愛着とSCとの関連とSCに関する年齢特性(65歳以上と65才未満の比較)を明らかにすることに焦点を当てた。 A県の地域住民300人を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。 有効回答は257人(85.7%)で,対象の平均年齢±SDは60.5±17.0歳。居住年数は「20年以上」が195人(75.9%)で最も多く,世帯収入は「200万円以上400万円未満」が72人(28.0%),次いで「400万円以上600万円未満」が57人(22.2%)であった。居住地域に愛着のある者は185人(72.0%),ない者は70人(27.2%)で,各々の平均年齢は67.1±12.7歳,43.2±14.9歳であった。また,地域への愛着がある者は,有意に居住年数が長かった。地域での活動状況を愛着の有無別にみると,自治会や愛育会等の地縁的活動,生涯学習を含む趣味・娯楽活動,美化や防犯に関するボランティア活動のどれにおいても,地域に愛着のある者のほうが有意に参加していた。また,多変量解析の結果,「友人・知人との交流頻度が高い」「親戚との交流頻度が高い」「地縁的活動に参加あり」が有意に関連していた。 また,65歳以上の者は,自治会等の地縁的活動や趣味・娯楽活動,ボランティア活動等に積極的に参加しており,親戚や近所,友人・知人との交流頻度も65歳未満に比べ有意に高かった。さらに,地域に対し「住み心地がよい」「治安がよい」「活気がある」「愛着がある」と認識している者が有意に多かった。 日頃の程よい人づきあいと地縁的活動への参加が,居住地域への愛着を醸成することに繋がると考えられ,さらに若いうちからのSC醸成が大切で,地縁的活動に積極的に参加できるよう,地域特性を生かした魅力ある活動の機会を設けることが重要であると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,計画に位置づけていた先進地の視察ついて,現在のところ実施できていないところであるが,24年度の調査をベースとした調査を対象を広げて実施でき,その結果,ソーシャル・キャピタルに関する多方面からの示唆が得られたため,最終年度の内容に十分活かすことができそうである。 また,保健所主催の保健師定例研究会の場で,本研究の成果を含めたソーシャル・キャピタル研修を実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は,これまでの研究で得られた示唆と保健師活動を結びつけて検討し,地域包括ケアの視点も含めより多角的に研究を進めていく。 特に,保健師の多くが所属する各自治体のソーシャルキャピタルに関するあり方を検討する基礎資料とするため,先進地の視察とインタビューについても実施していく予定である。 また,引き続き,これまでの研究成果を学会等で積極的に発表していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に実施予定であった,国内先進地への視察及びインタビューが現在未実施であること,報告書作成のための印刷費,予定していた成果発表ができなかったこと等があげられる。 25年度未実施の計画内容を実施すること,3年間の集大成としての報告書を作成すること,ソーシャルキャピタルをテーマにした保健師現任教育の実施にかかる費用等に使用する予定である。
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