近年,わが国では世帯構造の変化が生じ,要介護者のいる世帯の家族の介護力は弱い世帯が増える傾向にある.要介護者と同居している主介護者は,男女ともに50~60歳代が最も多く,約半数が仕事を継続している.これらのことから,家族の就労などのために日中ひとりで過ごす要介護高齢者(以下,日中独居高齢者)の存在が推測される. 先行研究から日中独居高齢者は何らかの健康障害に伴い,さまざまな療養生活上の問題を抱えているため,ひとりで過ごすことによって不安を生じている. 一方で,日中独居高齢者の同居家族は,日中就労による外出をしているため,実際どのように日中独居高齢者が過ごしているのか分からず,さまざまな心情を抱えていると考えられる. これらの背景から,日中独居高齢者の家族を含めた支援が,在宅での療養生活をより安心・安全に継続させることができると考える.そこで本研究において,要介護高齢者を支える同居家族の日中留守にすることによる心情を明らかにすることで,日中独居高齢者とその家族の双方の生活への支援の在り方を見出すことができると考える. 研究の成果として,日中独居高齢者の主介護者を対象者とした面接調査を行い,質的記述的分析を行った.対象者は9名であり,すべて女性であった. 日中独居高齢者の女性介護者は,日中独居高齢者がひとりで過ごすことよって起こり得る事柄について予測し心配をしていた.しかし,予測される事柄に対して予め準備をし,他者に相談するなどを行っていた.また日中独居高齢者の女性介護者にとって,仕事を続けることが唯一社会とのつながりである場合があり,気分転換の機会となることから介護継続の意欲にもつながるなどの気持ちも抱いていた.このように日中独居高齢者の女性介護者は,さまざまな心配や不安を抱えながらも,仕事と介護を両立するためにセルフマネジメントを行っていることが明らかになった.
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