研究課題/領域番号 |
24792583
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
渡辺 陽子(半田陽子) 県立広島大学, 保健福祉学部, 助教 (20364119)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 認知症看護 / 自己決定 |
研究概要 |
本研究は,「認知症高齢者の自己決定の機会を提供する看護介入プロトコルの開発」に向けた研究である。研究目的の達成のために、平成24年度は、「①平成23年度に実施した調査結果の分析および介入モデルの作成」、および「②介入モデルに基づいたプロトコル・チャートの作成」を実施する予定であった。 ①については、前回の科研で実施した調査結果を分析した。介入モデルは、毎日の生活援助場面で自己決定の機会を提供することで,認知症高齢者の自己決定の欲求の顕在化,活動への動機づけ向上,他者への関心の広がりなどがみられ,「自分の意思を示して行動できる」「生活への意欲が向上する」「他者との人間関係を維持する力が向上する」という変化が期待できる、というものである。調査内容は、前述した介入モデル(「認知症高齢者の自己決定を支える看護介入モデル(試案)」)を臨床適用する、というものである。 モデルを踏まえた看護介入による変化を質的に分析した結果、対象認知症高齢者に、「自分の意思を示して行動できる」「他者との人間関係を維持する力が向上する」という変化がみられることが確認され、モデルの妥当性が検証された。 ②については,認知症看護の認定看護師の助言を得ながら、認知症の種類や程度,日常生活行動の自立度などを踏まえたアセスメント方法,および具体的な援助方法を記載したプロトコル・チャートを作成した。①の調査の分析の結果,援助者が任意(自由裁量)に実践する介入モデルの提示のみでは,援助者は意図を理解しにくく,実践現場での活用可能性が低いと考えられた。よって,ある程度標準化されたプロトコル・チャートの作成により、ケアの質の均等化が図れると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の達成目標は、「①平成23年度に実施した調査の分析と介入モデルの作成」、および、「②介入モデルを踏まえた介入フローチャートの作成」であった。 ①については、調査結果は分析を終え、日本老年看護学会学術集会で発表することが決定している。②についても、作成したチャートの一部を、平成25年度に医歯薬出版から出版される書籍へ掲載することが決定している。よって、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究スケジュールは,次のとおりである。 復帰後に,まず,介入モデルを踏まえた介入プロトコル・チャートを完成させる。そして次年度以降で,調査者が臨床現場で実践することで,妥当性を検証する。最終年度は,臨床看護師の協力を得て,日常生活援助場面でプロトコルに基づいた援助を実践していただくことで,プロトコルの臨床での活用可能性を評価し,プロトコルを完成させる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費は、プロトコル作成、および認知症看護に関連する図書を購入する予定である。 旅費は、今後の調査施設の確保のために、施設を訪問する予定であり、その際の交通費として使用する予定である。
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