本研究は、施設高齢者を対象に仮眠の実態調査を行い、短時間仮眠が、施設高齢者の仮眠後の活動や夜間睡眠に与える影響を明らかにするとともに、短時間仮眠の有無と仮眠区間内の居場所、体位との関連を検討することを目的とした。 意思疎通が可能な施設高齢者25名を調査対象とし、アクティグラフ(AMI社製・RC型)と行動観察法を用い、3日間、仮眠指標(仮眠区間内の総睡眠時間)、睡眠指標(夜間の総睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒回数、入眠潜時)、仮眠区間内の居場所(居室、居室以外)や動作(動的、静的)、体位(臥位、座位)、仮眠後の活動量および活動内容を測定した。また、属性として性別、年齢、NMスケール、Barthel Index、睡眠剤服用の有無を調査した。これらを仮眠区間内に30分未満の仮眠を取った短時間仮眠群と同じ区間内に30分以上の仮眠を取った長時間仮眠群の2群に分け比較した。 その結果、短時間仮眠群は、長時間仮眠群と比較して、NMスケール、Barthel Indexの値が高かった。また、短時間仮眠は夜間睡眠や仮眠後の活動量には影響を与えていなかったが、仮眠後の活動内容には影響があった。加えて、短時間仮眠群は長時間仮眠群と比較して、仮眠区間内の動きや体位に差は見られなかったが、仮眠区間中に居室にいる時間は短かかった。 以上のことから、施設高齢者に短時間仮眠を促すことは、夜間睡眠の質の向上には影響しないが、夜間睡眠に影響を与えることなく日中の覚醒を促し、施設での日常生活における活動性を高める可能性があることが示唆された。それとともに、施設高齢者の日中の眠気を解消し、生活の質を高める仮眠を提供するには、環境作りに目を向け工夫することが重要であると考えられた。
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