本研究の目的は、認知症高齢者の意思決定能力の特徴を明らかにし、意思決定能力の評価方法を検討することである。食事に関する仮想設問をMacCAT-Tに基づいて作成し、意思決定に必要な4つの機能的能力(「理解」「認識」「選択の表明」「論理的思考」)を評価した。認知症高齢者35人と認知症ではない高齢者35人へ面接調査を実施した結果、認知症高齢者の「理解」は認知機能障害の影響を受けて有意に低かったが、「認識」と「選択の表明」は両群でほぼ差がなく高得点を示した。「論理的思考」は認知症高齢者が有意に低く、とくに選択肢を比較することや結果を推測することが難しい傾向を示唆した。
|