研究課題/領域番号 |
24792590
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
増満 誠 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (10381188)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 沈黙 / 統合失調症患者 / 対話場面 |
研究概要 |
本研究の目的は、統合失調症患者の看護師との対話場面における沈黙について、患者はどのように体験し解釈しているのかを明らかにすることである。本年度は、目的達成のために国内外の文献から統合失調症患者の経験する沈黙や看護者との対話場面における相互作用に関する資料の収集、整理を行い、概念枠組みを構築することであった。「統合失調症患者の経験する沈黙」については、研究的観点からの文献は見当たらず、患者の手記や精神医学等の書籍からその経験の意味や作用を拾い上げた。また、特に現象学的な観点から時間や空間といった「間」に焦点を絞り、沈黙の意味解釈を「間」の解釈から考察を深め、概念枠組みの作成を行っている。さらには、看護者の沈黙が患者にどのような効果をもたらすのか、患者の発言を「待つ」という行動が、会話の主導権を患者にゆだねることにつながり、またケアとしての「積極的待機」につながることも文献から明らかになった。このように、沈黙がもたらす効果、沈黙を引き立たせる周辺現象が明らかになる中で、沈黙現象の意味解釈の概念が整理されつつある。そして、沈黙を考えるうえで時間や空間が大きく関与していることが明らかとなった。そのため、患者にとっての時間や空間といった間の解釈をインタビューで明らかにすることで、患者との対話場面において日本の文化でもある「間合い」について、統合失調症患者の特性の一つである自我の脆弱性との関連から、その「間」が患者の心的安全空間を保証し、看護者のケアのあり方も明らかになるのではないかと考える。このような仮説をインタビューを通して検証することで患者側の体験としての沈黙の意味解釈に深みと広がりをもたらすこが可能になるのではないかと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、概念枠組みの構築とそれをもとにインタビューを行う予定であったが現段階では概念枠組みの構築過程にあるため。
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今後の研究の推進方策 |
概念が多岐にわたってきているため簡潔に整理し、同時にインタビューガイドを精選し、目的達成のためのインタビューを実施する。インタビュー内容を逐語録に起し、質的帰納的に分析を行う。なお分析過程では複数の専門家と分析を行い分析の精度を担保、インタビューは2回実施し信頼性妥当性を高める。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集(インタビュー)のための旅費、ICレコーダーの購入、研究協力者・専門家への謝礼、データ入力(逐語録作成)作業の人件費、成果発表にかかわる費用が必要である。
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