目的:本研究は、精神科多職種アウトリーチチームの一員として活動したピアサポーターが感じた主観的な体験を記述することにより、今後の精神科多職種アウトリーチにおけるピアサポーターに対する支援方策や、協働する他の専門職への教育に対する示唆を得ることを目的とした。 方法:2011年9月~2014年3月まで厚生労働省「精神障害者アウトリーチ推進事業」を受託し、多職種による精神科アウトリーチを提供していた日本国内37機関/チームにおいて、ピアサポーターとして雇用され、多職種チームの一員として活動した17名(事業期間通算)のうち、研究協力の得られた9名を対象としてインタビューガイドを用いた半構造的面接を実施し、質的記述的に分析を行った。 結果:精神科多職種チームの一員としてアウトリーチを実践したピアサポーターは、多職種チームにおけるピアサポーターとしての専門性や、自分自身がサービスユーザーでありかつ支援スタッフでもあるという複雑な立場に対して悩み、不安を感じながらも、サービス利用者がリカバリーしていく姿を通して様々な達成感を抱き、自分自身もまたリカバリーしていることを実感していた。 結論:多職種チームにおいてピアサポーターが体験するリカバリーや不安について、協働する他の職種が正しく理解することはチームの連携向上に資し、それは利用者へのサービス向上につながる。ピアサポーターがその特性をより発揮するために必要な、チーム内外におけるサポート体制や研修制度についてはさらに検討していく必要がある。
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