本研究の目的は,集団指導でありながら個別指導のように対象者の個別性を考慮したテーラーメード型の集団指導の効果について検討することである。集団指導にテーラーメードの概念を加える手法として,本研究ではマーケティングリサーチの分野で消費者の選好を調査するのに使用されているコンジョイント分析を用いた。 3年間の研究を通して,生活習慣の基本的内容である運動・栄養に加え,今回の1014名を対象とした調査で明らかになった睡眠を加えた”テーラーメード型集団指導用事前調査項目”を作成することができた。本調査項目を用いたコンジョイント分析を集団指導の事前調査に用いることで対象集団の保健指導における統計上最も好ましい内容を把握することが可能となるため,集団でありながらテーラーメードのような保健指導を受けることが可能になる。 しかしながら,受けたい保健指導の好みが極端な対象が多くいる等,集団の特性によっては”テーラーメード型集団指導用事前調査項目”を用いたコンジョイント分析では必ずしも有効に機能しないことが考えられるため,今後は事前調査項目の内容,分析方法のさらなる検討を実施する必要があると考えられる。
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