本研究の目的は二つある。一つ目は配偶者の呼び方(「あなた」)に基づいて配偶者暴力を予測することである。二つ目は子どもから親への呼び方に基づいて親子間葛藤を予測することである。 横断調査の結果、夫が妻を横柄に呼ぶほど、夫は妻に対して身体的暴力を行い易かった。また、妻は夫を親密に呼ぶほど、夫から身体的暴力の被害を受け易かった。夫婦間の呼び方は、夫から妻に対する身体的暴力の予測指標として有用だろう。また、青年期の子どもが親を呼ぶのを回避している場合は、親子間で葛藤を体験し易かった。また、父親を横柄に呼んでいる子どもほど、子どもの抑うつ症状が高かった。子どもの呼び方も親子関係の指標として有用だろう。
|