本研究は、痩せ女性の健康問題、特に体重減少による栄養評価指標の悪化を明らかにすることを目的に、平成24年から平成26年の3年間、愛知県A市の39歳以下対象の健康診断を受診した女性を対象に、体重と栄養評価指標(アルブミン、プレアルブミン、リンパ球数)を調査した。 まず、3年間で調査に参加した女性の初回調査結果を用いて、体型と栄養評価指標との比較を行った。治療中の疾患がある女性、現在妊娠中・授乳中の女性を除いた325人で解析を行った。その結果、プレアルブミンおよびリンパ球数では、痩せ群ほど平均値が有意に低く、リンパ球数は1500/μl未満の低値を示す割合が痩せ群ほど高かった。体格と健診での血液検査結果では、HbA1cと比較したところ、過体重であるほどHbA1cが高くなる一方、過度の痩せ女性でもHbA1cの高い者がおり、HbA1c(NGSP) 5.6%以上の割合が軽度の痩せ女性よりも高かった。 次に、体重変化との関連を検討するために、3年間のうち継続して2回調査を実施した女性を対象に、初回調査時の体型別に、1年間での体重変化と栄養評価指標とを比較した。その結果、体重が減少した女性は、痩せ群・普通群共にプレアルブミンでは関連はなく、リンパ球数では増加がみられた。HbA1cとの比較では、痩せ群のうち体重減少した女性でHbA1cが最も増加していた。 本研究の結果から、体格と栄養指標との比較では、栄養指標のうちリンパ球数との関連がみられ、痩せ女性で低リンパ球の割合が高い傾向がみられた。しかし、1年間の体重変動との比較では、1年間で体重が減少した女性は、プレアルブミンでは関連はなく、リンパ球数では増加がみられ、予想していた変化とは異なる結果であった。ただ、痩せ群の体重変動とその他の血液検査結果の変化との関連をみると、体重減少した女性でHbA1cも増加しており、痩せ女性にとって体重減少は、何かしら身体的負荷となっているのではないかと考えられる。
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