研究実績の概要 |
生活環境要因などの他に、身体的機能や社会性について継続調査を行い、ストレス対処能力(SOC:sense of coherence)に関する調査を行った。 本調査を含め、平成26年度までの4時点8年間において回答を得た調査対象者約1,200名、平均年齢75.3±12.5歳(平成26年度時点)の身体的機能や社会性の変化はほとんどみられなかった。 ストレス対処能力(SOC:sense of coherence)得点は、一卵性双生児間の得点における相関係数と二卵性双生児間の得点における相関係数に有意な差はなく、遺伝的な影響はほとんどないことが分かった。主観的健康観との関連をみるために、64歳未満と65歳以上に分けた重回帰分析を行ったところ、64歳未満の年齢層では、「身体に痛みを有していない(.30)」と「治療を必要とする疾患に罹患していない(.23)」ことが関連していた。また、65歳以上の年齢層では、「手段的日常生活動作(IADL)機能(.21)」、「外出機会があること(.20)」、「ストレス対処能力(.16)」と「「身体に痛みを有していない(.16)」ことが関連していた。64歳未満では、身体的な要因が直接主観的健康観に影響することが分かった。 また、外出や他人との交流のような社会活動の頻度は高齢者において、遺伝的な影響を受けていることが分かった。このような社会活動の現象とうつ症状との関連には共通する遺伝要因と環境要因が影響していることが分かった。
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