本年度は、既に行った子育て支援に関わっている専門職へのインタビュー調査の内容の検討を行い、親支援ボランティアに必要とする資質や能力の選定を行った。 まず、専門職から得られた内容の検討を行うために、地域の子育て支援の経験を持ち、大学院修士・博士の学位を有する大学教員に対して、質問紙調査票の原案の各項目について回答を求め「子ども虐待を予防する関わり」の内容の選定を行った。 次に、調査票の内容を精選し、全国調査を行った。対象は、全国の市町村の中から調査協力の同意の得られた子育て支援に携わる者186名(非専門職、ボランティア含む)とした。 調査の結果、回答者数80名(回収率43.0%)であり、平均年齢は42.4(Min23-Max65)歳、所有資格は、保健師55名(68.8%)、看護師37名(46.3%)、保育士9名(11.3%)、養護教諭8名(10.0%)、幼稚園教諭7名(8.8%)、助産師6名(7.5%)、であった。子ども虐待を予防するための親支援ボランティアに必要となる関わりとして、「養育者の秘密を守る」、「人を思いやる気持ちを持つことができる」、「養育者のしんどさなどの気持ちに寄り添った対応をする」、「養育者に対して誠実である」、「養育者の状況を否定したり批判したりしない」、「養育者の子育ての苦労をねぎらう声かけをする」等の項目で重要であると回答した者が多かった。一方、親支援ボランティアには困難であるとした項目は、「子育て支援に関する専門的知識と技術をもつ」、「養育者の基本情報(成育歴・家族背景・不適切な養育に至った経緯や性格・気質、サポート状況等)を把握する」、「養育者である母親どうしのピアカウセリングで解決するよう支援する」、「養育者自身がサービスを選択できるようにする」、「養育者の緊急性を見定めるなどタイミングを見逃さず対応する」等が多かった。
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