本研究の目的は、居住地域レベルの近隣環境要因が、高齢者個人の健康指標に及ぼす影響を検討することであった。東京都健康長寿医療センター研究所では、平成22年度に埼玉県鳩山町に居住する65~84歳の地域住民から無作為に抽出した約750名を対象にコホート研究を立ち上げており、平成24年度は、そのうちの約680名にデータ収集を行った。平成26年度には、フォーローアップ調査を行い、630名より協力が得られた。結果として、結束型ソーシャルキャピタルは主観的健康感と抑うつに予防的に働くこと、居住地域の凝集性の高さはストレスが抑うつに及ぼす影響を緩和する(ストレス緩衝効果がある)ことが明らかになった。
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