大脳基底核疾患によって時間情報処理に障害が生じることが知られているが、その神経機構はいまだ不明である。本研究では、ニホンザルに様々な長さの時間処理課題を訓練し、遂行中の線条体の神経活動を調べた。同部のニューロンは再現時間によって活動の時間経過を変化させた。薬物注入によって基底核の内部の直接経路と間接経路の信号強度を操作したところ、再現時間に変化が生じた。このことから、主観的な時間長が基底核内部経路のバランスによって調節されていることが明らかとなった。基底核疾患によって生じる様々な随意運動の障害も同メカニズムで説明される可能性がある。
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