研究概要 |
本研究の目的はナノ・マイクロバブルと超音波を用いたVasohibin-1(VASH-1)遺伝子導入による腫瘍組織での血管新生の抑制効果を評価することである. 平成24年度において,本手法を用いた遺伝子導入法でVASH-1AおよびVASH1BプラスミドDNAをマウス固形腫瘍に導入し,経時的な体積の減少を測定した.5-6週齢雄SCIDマウスの両側腹皮内にEMT6-luc(ルシフェラーゼ発現マウス乳がん細胞)を接種し,固形腫瘍を作製する.腫瘍接種後2,4,7,9日目に腫瘍内にバブル(添加濃度: 10%(v/v))とVASH1AもしくはVASH1BプラスミドDNA(10 μg/site)を注入し,水中で超音波(周波数: 1 MH; デューティ比: 20%; パルス数: 200; 照射時間: 1分)を照射して,腫瘍組織にVASH1遺伝子を導入した.従来のノギス法および生体発光画像法を用いて経時的(腫瘍接種後2, 4, 7, 9, 11日目)に体積の変化を定量化した.腫瘍接種後11日では,空ベクター導入群と比較して,VASH1A導入群では0.6倍(ノギスによる測定: 0.58倍; 生体発光による測定: 0.62倍)であったのに対しVASH1B導入分では,0.3倍(ノギスによる測定: 0.29倍;生体発光による測定: 0.32倍)になった.本年度は,本研究を推進する上で必要不可欠な基礎データを取得した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度の研究実施計画は(1)VASH-1遺伝子導入条件の決定と(2)本手法を用いた腫瘍組織への導入効率の定量化である. (1)VASH-1遺伝子導入条件は遺伝子導入濃度: 10 μg/site; バブル添加濃度: 10% (v/v); 周波数: 1 MH; デューティ比: 20%; パルス数: 200; 照射時間: 1分とした. (2)導入効率を測定する腫瘍組織はサンプリング済みであり, 来年度に導入効率の定量化を行う. 一方で, 平成25年度の計画であるノギスを使った体積評価および生体発光画像診断法によるVASH-1AおよびVASH-1B遺伝子導入による経時的な体積変化の定量化は終了した. また, 本手法を用いた腫瘍組織の分子生物学的および組織免疫学的評価のためのサンプルは採取済みである.
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