本研究は,運動介入をおこなっても,体重が期待値よりも減少しないケースに着目し,その原因として,身体活動を増加するという生活習慣改善が刺激となり,食事摂取量が増加するエネルギーの代償反応に着目した.一過性運動下における食事摂取量の変化は,食欲抑制ホルモンの関与であることが先行研究により解明されつつある.しかし,中・長期的な運動介入と食事摂取量の変化について,食欲調整ホルモンとの関係に着目した検討は皆無である.そこで本研究では,運動介入により体重減少が期待値通り得られた群と得られなかった群に対象者を二分し,1)介入前の食欲調性ホルモンに群間差がみられるか,2)介入中の食欲調性ホルモンの変化に群間差がみられるかについて検討した. 本研究は,一過性運動下(実験室ベース)でみられた反応を,中・長期的介入を用いて,より一般化された状態においても同様の反応がみとめられるかについて検討した点でオリジナリティが高いと考える.よって,研究で用いた運動介入(週3回,1回90分,12週間,ウォーキングなどの有酸素生運動)は,減量を必要とする肥満者が取り組みやすい内容であることにも配慮して構成された.このことから,対象者のドロップアウトは少なく,傷害発生は皆無であった. 本研究で予定した運動介入は無事終了し,必要なデータをすべて収集することができた.今後は,本研究で得たデータを国内外で発表,投稿し,当該分野の発展に貢献できればと考える.
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