H25年度は,聴覚障害者の閲覧習慣に適合した印象可視化手法を確立し,プロトタイプシステムを提案した.提案システムでは,印象の種類をキーワードの文字色や背景色,枠線色で表現し,印象の強さを色の濃淡や文字サイズ,枠線の太さで表現することで,テキストの印象可視化を行った.印象の種類に応じ,ポジティブな印象(楽しい,うれしい,のどか)を暖色(黄色,オレンジなど)で,ネガティブな印象(悲しい,怒り,緊迫)を寒色(水色,青色など)で表した.また,印象の強さを文字色の濃淡や,背景色の濃淡,枠線色の濃淡,文字サイズ,枠線の太さと対応させた.テキスト印象可視化により,テキストが伝わる印象を強化し,聴覚障害者の情報獲得を支援できる. また,検索キーワードと関連性が高く,かつ全ての印象を網羅した検索を実現する網羅的印象検索手法を提案した.提案システムでは,検索結果のタイトルとスニペットに対して,これまでに開発した印象辞書を用いて各検索結果の記事に対する印象値を算出し,「楽しい⇔悲しい」,「うれしい⇔怒り」,「のどか⇔緊迫」という3種類の印象を対象に,印象値の最大値と最小値を含む記事を検出し,それらから抽出した特徴語を関連語としてWebページを再検索することで,検索キーワードに対するメジャーな印象だけでなく,マイナーな印象など,検索キーワードとの関連性が高くかつ全ての印象を含むWebページを発見できる.
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