研究課題/領域番号 |
24800015
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 唯史 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (30334337)
|
研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
キーワード | 脳神経疾患 / 神経科学 / アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白質 / アポリポプロテインE |
研究概要 |
本研究において、Aβ oligomerの代謝及びその神経細胞障害性について、3つのポイントから研究を遂行している。 まずCLACがAβoligomerの代謝に及ぼす影響をin vivoレベルで明らかにするため、CLACを過剰発現するトランスジェニックマウスをADモデルマウスであるAPPトランスジェニックマウスと交配してそのアミロイド蓄積、及びAβ oligomer代謝について検討したところ、CLAC、APP二重トランスジェニックマウスでは、APPトランスジェニックマウスに比べ、アミロイド蓄積の成熟化が進行すると共に、Aβoligomer量が減少することを見出した。この結果はCLACがアミロイド斑からAbオリゴマーが遊離するのを抑制している可能性が考えられた。 次にAβoligomerの神経毒性を評価するため、APPトランスジェニックマウス脳由来初代培養神経細胞を用いて検討したところ、野生型マウスに比べ、APPトランスジェニックマウスでは、有意にdendritic spine密度が低下することが確かめられた。 最後に、apoEとAβoligomerの相互作用を評価することを目的として、apoEのカルボキシ末端、及びAβのアミノ末端にsplit-luciferaseを付加し、両者の結合をluciferase活性で評価した。その結果apoE, Aβ両者が存在する時のみ発光が測定され、apoEとAβの相互作用を簡便に評価できる実験系の樹立に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に定めた3つの研究ポイントのうち、1)について、CLACに関するin vivo研究は先行して進んでおり、apoEに関しては次年度の検討であり、概ね順調である。2)については実験系の樹立まで完了しており、概ね順調である。3)について、実験系の樹立が完了しており、概ね順調である。以上の観点から達成度は②概ね順調に伸展していると判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度樹立した実験系を用い、Aβ oligomerの受容体の同定を行う。また本年度樹立したAβ oligomerの代謝を担うapoEとAβoligomerとの結合を簡便に測定する実験系を用い、両者の相互作用を制御する分子の同定、さらに小化合物の探索を行い、アルツハイマー病治療薬のシーズとして応用を検討する。 また、ヒトapoEを発現するAPP tgマウスを作出し、apoEがAβoligomerに及ぼす影響についてin vivoレベルで検討する。
|