研究課題/領域番号 |
24800032
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
神納 貴生 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10636070)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | HDR符号化 / トーンマッピング / 多層符号化 |
研究概要 |
24年度の研究実施計画では複数のトーンマッピング効果を実現する効率の良い二層符号化の実現を目的としたが,予定していたHDRカメラの納品が大幅に遅れたため,当該年度では,本来25年度に実施予定であったトーンマッピング効果に対するスケーラビリティを持つ多層符号化を目的とし,二種類のトーンマッピング効果を切替可能な二層符号化技術を実現した. 実現したトーンマッピング効果は,物体のテクスチャなどのみを平滑化するエッジ保存型平滑化効果を持つトーンマッピングと物体のテクスチャなどを強調し視認性を向上させる詳細強調効果を持つトーンマッピングの二種類である.前述のエッジ保存型平滑化効果を持つトーンマッピング結果は,オブジェクトの輪郭のみが残るため,HOG特徴量などを用いた物体認識などに対して有効となる.また一方で,後述の詳細強調効果を持つトーンマッピング結果は微細な特徴を可視化出来るため,SIFTなどを用いた物体追跡の精度向上に役立つ.当該年度の研究で,本手法の詳細強調効果によりSIFTによる弱特徴物体の追跡精度が向上することを示した.本手法では多重スケールを用いてコントラスト制御を行うことで,これら二種類のトーンマッピング効果を高ダイナミックレンジ画像の復号過程で切替できる.つまり,本手法はHOG特徴量などによる物体認識で物体を認識し,認識した物体内の詳細を基にSIFTなどによる物体追跡を行うシステムにおいて最適な符号化手法となる. 本手法は,従来の画像に比べダイナミックレンジおよび分解能において高品質な高ダイナミックレンジ画像を既存の物体認識や物体追跡の技術およびデバイスに対して最適化することで,新たな技術やデバイスの開発なしに物体認識や物体追跡精度の向上をソフトウェア側で実現できる.以上のように24年度の研究成果はこれまでの物体認識や物体追跡の精度を大幅に向上させるものとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初研究目的である複数のトーンマッピング効果を実現する効率の良い二層符号化の実現については,HDRカメラの販売メーカ(Institute fur Mikroelektronik Stuttgart 社)からの連絡が大幅に遅れ,納品が24年度末まで伸び,予定していたHDRカメラでのサンプルデータが取得できなかったため,先に一眼レフにより撮影された多重露光画像を用いて作成したHDR画像および多くの論文で用いられているHDR画像をサンプルデータとして用いて実現できる,トーンマッピング効果に対するスケーラビリティを持つ多層符号化について研究を進めた.この研究では二種類のトーンマッピング効果を切替可能な二層符号化を実現し,それらのサンプルデータにおいて従来法と比較した際の有効性が認められた. HDRカメラで撮影されたHDR画像群での検証は不十分であるため,今後その検証も必要となるが,トーンマッピング効果に対するスケーラビリティを持つ多層符号化の骨子が出来上がっているため,今後の研究スピードは早くなるものと考えるが,現時点ではやや遅れていると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
HDRカメラにより撮影するサンプルデータ以外については取得できているので,25年度初旬よりHDRカメラによるサンプルデータの取得,およびそれを含めたサンプルデータを用いて複数のトーンマッピング効果を実現する効率の良い二層符号化の実現を目指す. 25年度中旬よりトーンマッピング効果に対するスケーラビリティを持つ多層符号化手法として提案した二種類のトーンマッピング効果を切替可能な二層符号化手法のHDRカメラによるサンプルデータへの有効性の検証を行う. また,提案している二層符号化において切替可能なトーンマッピング効果自体の精度向上を目指す.提案している二層符号化手法は従来では複数回に分けて符号化し,送信しなければならなかった複数のトーンマッピング結果を一度の伝送過程において得られる点が利点であるが,得られるトーンマッピング結果は従来のトーンマッピング手法による結果と同等の性能となる.そこで25年度の研究では対象アプリケーションを物体認識および物体追跡に限定し,それらに対して最適なトーンマッピング効果に調節することで,産業的利用を見据えたより現実的な手法の実現を目指す.
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