今後の研究の推進方策 |
初年度研究では、3MCAを用いた発癌過程で、癌細胞傷害の主体となる細胞傷害性T細胞(CTL)のリンパ節における腫瘍抗原特異的な活性化とリンパ節への流出をブロックするシールド現象を発見した。 そこで、本年度研究では、1)そのシールド現象を形成する免疫細胞群の探求、2)シールド現象のCD8+CTLの活性化抑制機構の解明、3)シールド現象のによるCD8+CTLのリンパ節髄質移動のブロック現象の解明、4)シールド現象の破壊によるCD8+CTLの動態の観察、5)シールド現象崩壊による癌の免疫治療実験、などを行い、初年度に見出した癌免疫抑制機構のさらなる解明と新たな癌免疫療法の開発を行う。 具体的には、1)、2)、3)はPD-1, PD-L1, Fas, FAsL, CD107a, Granzyme B, IFN-γ, IL-10, TGF-β, Foxp3などに特異的な抗体を用いた免疫組織染色実験を中心とした方法で行う。4)及び5)については、コンジェニックマウスの実験系(例えばBALB/cマウスにBALB/cマックグラウンドでCD90.1マウスやC57BL/6マウスにC57BL/6バックグラウンドでCD45.2マウスの脾臓やリンパ節のナイーブT細胞またはCCR7+T細胞を移入したマウス)を用い、所属または非所属リンパ節からのCD8+CTLの流出と全身循環、さらには3MCA誘発腫瘍内への浸潤をトレースする。シールド現象の崩壊には、1)、2)、3)の実験結果を基に、シールド形成に関する特異的抗体の腫瘍内、皮下、静脈注射により達成する。他に可能であればがん患者リンパ節でシールド現象が観察されるかを検討する。
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