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2012 年度 実績報告書

ヒト静止立位姿勢における足および股関節の協調運動制御

研究課題

研究課題/領域番号 24800038
研究機関大阪大学

研究代表者

鈴木 康之  大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (30631874)

研究期間 (年度) 2012-08-31 – 2014-03-31
キーワード静止立位 / 協調運動 / 柔軟な制御 / パーキンソン病 / 姿勢推定
研究概要

平成24年度は,申請者が提案する立位姿勢制御の新仮説の検証,およびパーキンソン病の立位姿勢障害に関する仮説の検証を目的とし,(A)健常者の静止立位時における関節角度,筋活動,足圧中心点の同時計測が可能な計測環境の構築,ならびにヒト静止立位時の姿勢動揺計測,(B)パーキンソン病患者の静止立位時における筋活動,足圧中心点の同時計測,ならびに足圧中心点の時間変化から足および股関節の関節角度を推定するアルゴリズムの構築を行った.
(A)で得られた計測データをヒト身体が倒立二重振子で近似できるとする仮定の下で解析した.ヒト身体上に貼付されたマーカの時空間情報から推定される足および股関節角度の時間変化を周波数領域で解析した結果,およそ1Hzから2Hz程度の周波数帯域において逆位相で運動していることがわかった.これにより,ヒト身体重心の運動の高周波数成分が除去され,足および股関節の逆位相運動がヒト静止立位姿勢の安定化に寄与している可能性が示唆された.1Hzから2Hzの周波数帯域は,数理モデルを用いた解析により逆位相の運動が中枢神経系からのフィードバックの介入なしに受動的に生じる振動帯域である.中枢神経系がこの身体特性を巧みに利用している可能性が示唆された.
(B)で得られた計測データを解析し,静止立位時におけるパーキンソン病患者の足関節筋の活動度が,健常者に比べて大変大きいことがわかった.これは,パーキンソン病患者が静止立位姿勢を硬く維持している可能性を示唆する.パーキンソン病患者が足関節のみならず股関節などの他の関節も硬くすることにより立位姿勢を維持している可能性を探るため,モーションキャプチャシステムのような大規模装置を必要としない関節角度推定アルゴリズムが必要である.そこで,足圧中心点の時間変化から足関節ならびに股関節の時間変化の推定を行うアルゴリズムの開発を行い,一定の成果を得た.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は,申請者が提案する立位姿勢制御の新仮説の検証,およびパーキンソン病の立位姿勢障害に関する仮説の検証を目的としている.これを達成するために,平成24年度および平成25年度を通して,(A)健常者の静止立位制御メカニズムを探るための計測システムの構築,計測,およびデータの解析,(B)パーキンソン病患者の姿勢動揺計測,およびデータの解析を行う.
平成24年度は,(A)の計測システムの構築,姿勢動揺計測の一部,およびデータ解析の一部,(B)の姿勢動揺計測,およびデータ解析の一部を行った.これにより,平成25年度に実施予定であった,健常者への摂動実験,およびパーキンソン病患者の姿勢ダイナミクスに含まれる特徴の考察と再現を行うための基盤が構築できた.
平成24年度に得られた成果により,平成25年度においては研究がおおむね計画通りに実施できることが期待される.

今後の研究の推進方策

平成25年度は,①足関節および股関節の協調運動が失われた際に見られる姿勢動揺ダイナミクスの変化の理解,②継続的な摂動による姿勢の不安定化の可能性の評価,ならびに③パーキンソン病患者の静止立位時における関節間協調運動障害の評価を目的とし,以下の研究を実施する.
研究①を行うため,足関節あるいは股関節を固定した状態での静止立位姿勢の計測実験,および計測実験の結果を再現することが可能なヒト立位姿勢数理モデルの構築を行う.軽量かつ剛直な関節固定器具を作成し,それを装着した状態での計測実験を行う.ヒト身体運動を倒立二重振子モデルで近似し,装具の装着時・未装着時における計測実験データに対して足関節および股関節の運動を評価する.これらを再現することが可能な,神経フィードバック制御で安定化される倒立二重振子モデルを構築し,申請者が提案する新仮説を検証する.
研究②を行うため,フォースプレートから得られる足圧中心点の状態,およびモーションキャプチャシステムから得られるヒト姿勢の状態をリアルタイムで処理し,トレッドミルに入力を加えられるシステムを構築する.これを用いて,静止立位中の被験者に継続的な摂動を作用し,姿勢動揺ダイナミクスの変化を考察する.能動的フィードバック制御の持続的な活性化あるいは持続的な不活性化を引き起こす摂動を作用することにより,静止立位姿勢の不安定化を引き起こすことが可能であるかどうかを評価する.
研究③を行うため,パーキンソン病患者の姿勢動揺計測を行う.フォースプレートから得られる静止立位時の足圧中心点の時間変化より,足関節および股関節角度の時間変化を推定するアルゴリズムを確立する.計測データより推定されるパーキンソン病患者の足関節および股関節角度の時間変化と,健常者のそれらを比較することにより,立位姿勢障害が見られるパーキンソン病患者の関節間協調運動障害の可能性を評価する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 間欠的制御によるヒト静止立位二重振子モデルの安定化2013

    • 著者名/発表者名
      鈴木康之
    • 雑誌名

      統計数理研究所共同研究リポート

      巻: 294巻 ページ: 1-15

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公開日: 2014-07-24  

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