研究課題/領域番号 |
24800046
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
高井 昭洋 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (70632917)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 腹腔鏡手術照明システム / 照明デバイス / 上方照明 / 手術ストレス / 白うき |
研究概要 |
今回の研究の目標は,新しい腹腔鏡手術照明システムの有用性を客観的に検証することである. まずは,平成23年度までの研究によりわかっていた問題である「白うき」のない照明器具の改良をおこなった.平成24年9月にスタートアップ支援を受けて,デザインの見直し・照明範囲・照度の強さのシミュレーションなどを行い,平成24年12月に改良型照明デバイスを完成させた.その後,平成25年1,3月に2回の動物実験を行った結果,特に腹腔鏡下肝切除術時に問題になっていた「白うき」の問題が解決されることを確認した.これにより,照明デバイスの「白うき」が原因によって,手術の進行が妨げられるかもしれないといった問題が解決されるため,高難易度手術が可能となり,平成25年度の研究では,より臨床に近い研究データが得られる可能性が高くなったと考えられる. 一方,平成24年度は,本照明システムによる術者の手術中のストレス軽減の有無の測定を目標のひとつとしていた.しかし,照明デバイスの完成がやや遅れたこともあり,平成24年11月からの動物実験は3回しか施行できておらず,現在,パイロットスタディの段階である.ただ,これまでのデータでは,照明方法による明らかなストレスの違いが,はっきりと見えてきておらず,今しばらく,データ収集が必要と考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
術者のストレスを測定するときの手術の平均的手技として消化管縫合を想定していた.しかし,この手技は,多くの被験者が行うには,やや難易度が高いことがわかった.したがって,平均的手技を決定するための試行錯誤と,その手技によるパイロットスタディが必要となったため,計画がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
上方照明による腹腔鏡手術照明システムの有用性を検証する方策のひとつであるストレス測定は,明らかな違いは検出が困難かもしれず,手術の質的評価指標である手術時間や出血などを,主評価項目とする方向への転換が必要かもしれない. 一方,本システムの有用性の証明方法のひとつとして,手術映像の照度分布を取り入れる予定にしている.これは,開腹手術映像を基準とし,上方照明と通常照明映像をランダムにピックアップし,その照度分布を,肉眼視と同等な開腹手術映像と比較検討するものである.どちらがより肉眼視に近い,自然な映像であるかという指標になると考える.
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