研究課題/領域番号 |
24800047
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
内田 有希 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (50634002)
|
研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
キーワード | 行動性体温調節 / 女性ホルモン / 寒冷環境 / 視床下部 / 絶食 / エストロゲン |
研究概要 |
本研究の目的は、ラットの自然な寒冷時体温調節行動である尾隠し行動(寒冷時に尾を体幹下に隠す行動)を指標とし、1. 絶食により変化する摂食ペプチドのグレリン及びレプチンの尾隠し行動への影響、2. 強い摂食抑制作用のある女性ホルモンのエストロゲンの尾隠し行動への影響及び脳内活性部位を明らかにすることであった。当該年度は1, 2の目的について実験を行い、以下の結果を得た。 (1)雄ラットにおいて、42h絶食時は自由摂食時よりも寒冷時の尾隠し行動が増加する。 (2)卵巣摘出ラットは、エストロゲン投与により寒冷時に尾隠し行動が見られる時間が早まり、かつ長くなる。このとき、尾部皮膚温などの自律性体温調節反応に違いが認められない。 (3)卵巣摘出後エストロゲンを投与し寒冷暴露した脳において、神経マーカーのcFos蛋白が、行動性体温調節に関わる脳部位として報告されている扁桃体、島皮質、傍小脳脚核などに発現する。 以上の結果は、雄では絶食が尾隠し行動を修飾すること、雌ではエストロゲンが尾隠し行動を修飾することを示唆している。脳内活性部位の解析、摂食ペプチドを投与する実験については、来年度さらにサンプル数を増やし解析を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は所属機関を異動した初年度であった為、研究機器の購入とセットアップといった研究体制の確立が必要であったが、約半年間で完了することができた。さらに、当該年度の研究成果について第8回環境生理学プレコングレスで発表した。またアウトリーチとして、バイオクリマ研究会 第16回研究成果発表会内シンポジウムで一般市民向けに講演を行い、研究成果を広く知って頂く機会を得た。このような点から、概ね良好に進んでいると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度に採取した脳サンプルの免疫組織化学染色を進める予定である。既に目的の脳部位において神経マーカーのcFos蛋白の良好な染色像を得ており、スムーズに実施することができる。また暴露温度の精度と作業効率の向上の為、新たに恒温槽を購入した。作製済の実験装置に組み入れることで、さらに良い温度刺激を行うことができることが予想される。このように来年度の研究を推進する方策をとっている。
|