研究課題
協力ゲーム理論は,利己的に行動する主体(エージェント)間で,拘束力のある合意が可能な場合のエージェントの振る舞いに関する理論であり,ネットワークの発展により適用分野が拡大している.本研究では,提携構造形成,提携内の利得の分配,提携内での行動の最適化を同時解決するアルゴリズムの開発を最終目標としており,本年度の研究では,その基礎技術となる多目的分散最適化アルゴリズムの開発/実装を主に行った.実世界の様々な最適化問題では,異なる評価基準,例えば,最適な提携構造,利得の配分,提携内での行動を同時に考慮する場合が存在する.多目的分散制約最適化問題とは,複数の評価基準が存在する分散制約最適化問題である.提携構造問題は,分散制約最適化問題として定式化が可能であり,本年度はこの問題を多目的へと拡張した問題のモデル化及び,この問題を解くアルゴリズムの開発及び実装を主に行った.従来の単一目的の分散制約最適化問題と違い,多目的分散制約最適化問題では,一般には,複数の異なる目的関数間にトレードオフの関係があるため,すべての目的関数を同時に最適化するような割当は存在しない.そのため, 多目的分散制約最適化問題では,パレート最適性の概念を用いて最適解を特徴づける.本年度は,すべてのパレート最適解を求解する厳密なアルゴリズム,パレートフロント(パレート最適解によって得られる利得ベクトルの集合)の部分集合を求解する非厳密なアルゴリズム,そして,パレートフロントの近似値を求解する近似アルゴリズムの開発を行った.多目的分散制約最適化に関する既存研究はほとんどなく,本研究では世界に先駆け,複数のアルゴリズムを提案した.本研究では,提携構造形成,提携内の利得の分配,提携内での行動の最適化を同時解決するアルゴリズムの開発を最終目標としており,本年度は,その基礎技術を構築し,提案アルゴリズムの有効性を示した.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics
巻: 未定 ページ: 未定
電子通信学会論文誌
巻: J96-D, No.12 ページ: 2929-2938
巻: J96-D, No.12 ページ: 2920-2928