研究概要 |
フィードバック振動子において、フィードバックループが長いほど振動がロバストになることを明らかにした。以前、我々は、時計タンパク質の多数のリン酸化反応が概日リズムの周期を一定に維持する上で重要であることを明らかにした (Maeda and Kurata, J Theor Biol, 2011)。今回、単純なフィードバック振動子モデルにおける周期と振幅、そのマルチパラメータ感度の解析解の導出に成功し、フィードバックループが長いほど振動がロバストになることを示した。概日リズムにおける多数のリン酸化反応は振動を一定に維持するための機構として獲得された可能性がある。 動力学パラメータの測定値をうまく利用するパラメータ推定方法を開発した。シミュレーションモデルを作成するためには、その挙動が実験データと一致するように動力学パラメータを推定しなければならない。動力学パラメータの測定値が利用可能な時はその値から大きく外れないようにする必要がある。制約付き最適化アルゴリズムを用いることで、この問題を効率的に解決できる。現在、これを用いて概日リズム-細胞周期統合モデルを作成中である。 シミュレーションモデルの構築と解析を効率化するためのソフトウェア (Inoue, et al., Bioproc Biosyst Eng, in press)、データベース (Kurata et al., Brief Bioinfo, in press) を発表した。またモデリングに関するレビュー論文も発表した (Kurata, et al., J Chem Eng Japan, 2013)。
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