研究課題
本研究では、高齢者に特に顕著に見うけられるICT(情報通信技術)の利用への消極的態度の実態とその要因を、量的手法と質的手法を統合したミックスドメソッドアプローチによって明らかにした。実験によりICT機器の操作行動を、インタビューにより日常生活や利用環境、経験等を把握し、また、質問紙調査によってICT利用に関するユーザの全体的傾向と特徴を把握した。本研究では、対象とする高齢者をICT機器の利活用の程度やその能力によってグループに分け、ICT の利活用能力が高い高齢者から低い高齢者までを対象に量的・質的手法を用いて研究を行う。なお、統制群として若年者も対象とする。本年度は、ICT機器の利活用の程度やその能力の高い高齢者やデジタルシニアと低い高齢者に対して調査及び実験を行い、両グループに特徴的なICTの利用傾向の把握を行った。また、各世代に対しICT利用に関する質問紙調査を実施した。若年者世代と比較して、高齢者世代はICTの利用頻度およびリテラシーが総じて低いが、機器の操作に困った場合に、高齢者には他者に頼る、若年者には自力で何とかしようとする傾向がみられた。高齢者の中でもICTの利活用への意欲およびリテラシーの高い者は低い者と比較して、問題に対して複数の対処を試みる傾向があった。高齢者世代は、世代特有の生活状況や意識の変化がICTの利活用への意欲の低下やコミュニケーションへの積極性の低下をもたらす場合があり、その積極的利用を押しとどめ、それが知識や経験の不足につながっている。特にICTの利活用への意欲およびリテラシーの低い者は、生活の変化や新しい物の利用を好まない傾向がある。また、コミュニケーションへの積極性の低下は、ICTの利用を阻害するだけでなく、ICTの利用におけるサポートの機会の低下にもつながり、知識や経験の不足を克服しにくいという悪循環に陥りやすい。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nextcom, KDDI総研
巻: Vol.17 ページ: 28-37
https://www.kddi-ri.jp/nextcom/voluvo/17
Communications in Information Science and Management Engineering
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Journal of International Scientific Publications: Media & Mass Communication
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ISSN 13148028