本研究では、プロのシェフの協力を得た調理実験、また開発チームによる開発と調理実験を通したセンサおよび無線通信機能を内蔵する調理器具を利用した調理支援システムのプロトタイプの製作を行った。開発したシステムには複数の調理機器での同時調理に対応する新型の調理器具、調理中の温度変化をグラフで記録できるシステム、調理中の映像を撮影し記録するシステム、操作パネルとユーザー直感的に操作できるインタフェースが含まれる。 これらのシステムの設計にあたりイタリア料理店主であるプロのシェフに依頼し、厨房における調理動作に関する調査を行った。実際に開発中のプロトタイプ(フライパン)を用いてオムレツを作ってもらい、調理映像と調理中の温度変化を記録した。また、調理時の加熱や調理動作に関するインタビューから、システム開発に応用可能なさまざまなノウハウを獲得した。 システム上が調理を支援する専用レシピの開発を行った。異なる調理時の温度管理が求められる5品(炒飯、野菜炒め、麻婆豆腐、肉じゃが、ステーキ)を選定し、温度や手さばきなどの情報を含むレシピの原形を作成した。プロのシェフに対する調査と研究チームによる調理実験を通し、本システム専用のレシピを作成するために必要なデータを確保しながらシステム開発を行った。
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