研究課題
研究代表者らは近年,多チャンネル表面筋電図法という新たな測定技術を用いることによって,従来の表面筋電図法では検出が難しかった神経筋系における生理学的応答を評価する研究を進めている.本研究課題では,これまで十分に検討がなされていなかった筋力発揮における神経的要因についてトレーニングや脱トレーニングに対する適応を定量的に評価することを試みている.平成24年度は,平成25年度に実施予定のトレーニングと脱トレーニングを用いた介入実験に先立って,多チャンネル表面筋電図法を用いた基礎データの収集およびそれらの成果発表を行った.実施した実験から測定環境の統制方法,測定値の個人間差や筋間差などに関する所見が得られた.また,神経筋系における変性が生じるとされている2型糖尿病患者を対象として得られた多チャンネル表面筋電図のデータから本課題で用いる手法が神経筋系の長期的な適応を検出しうるものであることを見出した(Watanabe et al. Diabetes Res Clin Pract, 2012; Watanabe et al. Muscle & Nerve in press a).さらに,大腿部の筋を対象とした研究では1つの筋であるにもかかわらず筋内で疲労が部位依存的に進行することも明らかにし,介入実験で用いる筋の選定に対して有益な知見を得ることができた(Watanabe et al. Muscle & Nerve, in press b).平成24年度に得られた成果を基に,平成25年度の介入実験を進める予定である.
2: おおむね順調に進展している
本実験で用いる多チャンネル表面筋電図法について基礎的な実験を進めてきたが,方法論的な観点から様々な新たな知見を得ることができている.平成25年度に実施予定の介入実験に対して十分な準備期間として研究活動が行えたと考えている.
平成25年度は本研究課題の主となる介入実験を実施する予定である.平成24年度の後半より,具体的な研究計画を詰めており,準備は順調に進んでいる.介入実験ではトレーニングや脱トレーニングに対する神経的要因の適応を検討することからトレーニング習慣の無い被験者を選定することに注意を払う.また,多チャンネル表面筋電図法によって得られるデータに影響を及ぼす要因を可能な限り統制し,本研究課題で焦点を当てている神経的要因の適応機序を抽出できるように努める.
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Muscle & Nerve
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体育の科学
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http://kwatanabe.net/