栄養摂取、特にアミノ酸の摂取は骨格筋タンパク質の同化を促進する。しかし、このようなアミノ酸刺激による筋同化作用(アミノ酸感受性)は加齢や身体活動量の低下によって低下することが知られている。したがって、アミノ酸感受性の低下が加齢や身体活動量の低下による骨格筋量の低下に大きく影響を及ぼしている可能性が示唆されている。一方、レジスタンス運動は筋のタンパク質同化を刺激し、その繰り返し(レジスタンストレーニング:RT)効果として骨格筋量を増加させるが、RT によるアミノ酸感受性の変化については知られていない。本研究ではRTに伴うアミノ酸感受性の変化について明らかにすることを目的としている。 本年度は、アミノ酸利用能を調節し筋タンパク質代謝の調節に重要な役割を果たすアミノ酸輸送体のRTに伴う変化について検討した。 11週齢SDラットの右脚腓腹筋に対して電気刺激にて最大アイソメトリック筋収縮を誘発し、アミノ酸輸送体の発現量を検討した。その結果、18回のトレーニングの後に筋肥大は観察されたものの、アミノ酸輸送体に有意な増加は観察されなかった。また、アミノ酸輸送体の発現調節に関わる転写因子においても有意な変化は観察されなかった。動物トレーニングモデルや実際のアミノ酸感受性への影響など、更なる検討が必要である。
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