骨格筋の脂肪滴分解関連タンパク質は、骨格筋細胞内での脂肪蓄積を調節していると考えられ、インスリン抵抗性の発症に関与している可能性が示唆されている。本年度は、運動による脂肪滴関連蛋白質遺伝子発現調節に関して検討を行った。糖尿病予防に効果的とされている低強度・長時間運動を行ったラットの骨格筋において、脂肪分解関連タンパク質であるPerilipin 5、Adipose Triglycerol lipase(ATGL)やHormone Sensitive Lipase(HSL)が増加することが明らかとなった。一方、ATGLのアクチベーターであるCGI-58のタンパク量は変化しないことも併せて明らかとなった。 脂肪分解活性の調節メカニズムに関しては、Myc-Perilipin 5発現プラスミドをエレクトロポレーションにより骨格筋で高発現させる実験系の確立を試みた。本年度は、遺伝子導入から1週間目に骨格筋を摘出し、Mycに対する抗体で発現量を確認した。その結果、Mycの発現が遺伝子導入足のみで確認された。来年度以降は、この系を用いて、Perilipin 5を中心に、骨格筋の脂肪分解活性調節メカニズムを明らかにし、それを効率的に高める、運動プログラムの開発や、機能性食品のスクリーニングに発展させる。
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