研究課題/領域番号 |
24800078
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
道下 竜馬 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (10632028)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | メタボリックシンドローム / 血流依存性血管拡張反応 / 脈波伝播速度 / 無作為化比較対照試験 |
研究概要 |
生活習慣病とメタボリックシンドロームの症例を対象に運動トレーニング,食事制限,運動トレーニングと食事制限の併用,観察のグループに分けて3ヶ月の介入を開始した。介入前に医師による判断と通院者は主治医からの参加可否の判断所を得ることで安全管理を行ったうえ,運動介入群には1週間あたり300分の有酸素運動,食事制限群には肥満解消のガイドラインにしたがい,BMI 22.0から算出される理想体重に25.0を掛け合わせた数値(kcal/日)を1日の摂取量とした食事指導を行っている。全対象者に血管内皮機能,脈波伝播速度の測定のほか,問診(既往歴や喫煙習慣,飲酒習慣,服薬の有無など),血液生化学検査,形態・身体組成,CT検査,安静時代謝,運動負荷試験を実施している。いずれの群においても介入前,3ヶ月後に検査を行い,現在も引き続き継続中である。現在までに,本研究の説明会に参加していただいた対象者は380名であり,そのうち同意が得られなかった者は61名(同意あり319名),同意が得られた319名のうち,医師の判定にて参加が不可と判断された者が9名,本研究の対象者の基準に該当しなかった者が1名,本人の希望により辞退された者が1名であった。介入前の測定が実施できた者は300名であり,300名を無作為に運動トレーニング群(99名),食事制限群(61名),運動トレーニングと食事制限の併用群(58名),観察(82名)の3群に分類した。300名のうち,3ヶ月間の介入が完了し全ての測定が終了した者は255名であり,そのうち運動トレーニング群は77名(男性33名,女性44名),食事制限群55名(男性22名,女性33名),運動トレーニングと食事制限の併用群49名(男性19名,女性30名),観察群74名(男性24名,女性50名)である。運動トレーニングや諸検査による有害事象は一切なく,安全に研究を遂行できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ,研究所のホームページやプレスリリースをつうじて本介入研究の紹介や対象者の募集を行い,本研究の説明会に参加していただいた対象者は380名にのぼっている。介入前の測定が実施できた者は300名であり,そのうち3ヶ月の介入が完了し,全ての測定が終了した者は255名である(運動トレーニング群は77名,食事制限群55名,運動トレーニングと食事制限の併用群49名,観察群74名)。各群の対象者数は50名以上に達しており,疾病リスクのある者を対象に血管内皮機能をターゲットにした生活習慣改善プログラムの効果判定,その作用機序の解明を行うには十分な対象者数であり,当初の研究計画どおり概ね順調に進展しているものと考えられる。さらに多くの試料を得るため,引き続き同様の介入を継続する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
生活習慣病とメタボリックシンドロームの症例を対象に,引き続き運動トレーニング,食事制限,運動トレーニングと食事制限の併用,観察のグループに分けて3ヶ月の介入を行う予定である。本年度はCTや血液生化学検査などの特殊検査の分析や解析を行うとともに,各介入による改善効果や改善機序の解明を行うため統計解析も実施する。内服や各危険因子(耐糖能異常や高血圧,脂質異常症),喫煙の有無,リスク保有数(対象者の重症度),性別などにより,血管内皮機能は異なるため,それらに応じた解析も同時に行う予定である。また,本研究では血管内皮機能としてUNEX社製の血流依存性血管拡張反応[Flow-Mediate Vasodilator(FMD)]を用いているが,本測定は熟練した技術者が必要となるため,UNEX社の臨床検査技師に測定したデータ画像の確認を依頼する予定である。 本年度は随時,データの解析を行い,得られた成果は国内外の学会や然るべき学術雑誌にて発表するとともに,大学・研究所のホームページに掲載するだけではなく,プレスリリースを通じて各メディアに紹介し,社会へ発信する予定である。
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