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2012 年度 実績報告書

Ptf1a遺伝子改変マウスを用いた視床下部の発生および機能の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24800088
研究機関独立行政法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

藤山 知之  独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 病態生化学研究部, 流動研究員 (00635089)

研究期間 (年度) 2012-08-31 – 2014-03-31
キーワード視床下部 / 発生生物学 / 肥満 / Ptf1a / マウス / エネルギー消費 / 摂食 / Nkx2.1
研究概要

平成24年度の研究実績として、Ptf1a遺伝子発現細胞系譜追跡実験やPtf1aノックアウト動物の解析を行い、これまでに未解明であった視床下部神経細胞の発生機構の一端を明らかにした。さらにPtf1aコンディショナルノックアウトマウスの表現型を解析し、遅発性肥満の発症機序に関して示唆的なデータを得ることができた。以下の (一)(二)について研究を行った。
(一)視床下部神経細胞の発生機構
Ptf1aノックアウト(KO)およびコンディショナルノックアウト(cKO)を用いて、視床下部においてPtf1aリニエージ(Ptf1aを発現したことのある細胞系譜)にある神経細胞の性質について解析を行った。「KOマウスの視床下部では細胞死が亢進する」ことから、Ptf1a遺伝子が視床下部神経細胞の生存に必要であることが示唆された。また、「cKOマウスでは視床下部のサイズが縮小する」ことからPtf1a遺伝子が視床下部の正常な発生に必要であることがわかった。しかしながら、Ptf1aの欠失によりそのリニエージ細胞において「別種細胞への運命転換」が起きているのかどうか未だに不明であるため、今後はPtf1aリニエージにおいて各種神経細胞マーカーを用いた多重免疫組織化学染色法を用いるなどして明らかにしていきたい。
(二)遅発性肥満の発症機構
Ptf1a cKOマウスは遅発性肥満を発症するが、その体重増加の原因について、「食欲の亢進」および「代謝(エネルギー消費)の低下」の2つの可能性について調べた。前者についてはcKOマウスの餌の摂食量をコントロール群と比較した。その結果、予想に反して雄、雌ともに摂食量に有意な差がみられなかった。このことから、肥満発症の原因としてエネルギー消費の低下が示唆された。後者については未だ確たるデータは得られていないが、体温変化や活動量、酸素消費量などを詳細に解析する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現時点においては当初の研究計画に沿って進行している。

今後の研究の推進方策

平成25年度の研究の推進方策を以下に示す。
A) まず体温変化や活動量、酸素消費量などの解析を行う。これにより代謝低下が明らかとなった場合、その代謝低下が起きる原因となる可能性について、これまでに知られている肥満の発症機構(弓状核のPOMC神経細胞・NPY神経細胞における変化、下垂体ホルモンの変化など)との関連について調べる。すなわち、血中の各種ホルモン量や弓状核、その他視床下部神経核におけるPtf1aリニエージにある神経細胞の性質の変化などについて解析を行う。
B) Ptf1a cKOマウスにおいては視床下部サイズが縮小する。この表現型について、Ptf1aが欠失したことによる細胞内因性のアポトーシスが原因であることを示唆するデータが得られた。そこで、Ptf1aリニエージ細胞の欠失が肥満を招来しうるのかについて、これらの神経細胞について回路形成(投射様式)がどうなっているか、電気生理学的性質はどのようなものかなどについて解析する。さらには薬理学的手法を用いて急性にPtf1aリニエージ細胞を除く実験を行い、その場合の成体マウスの表現型について調べる。加えて、Ptf1aリニエージ特異的にチャネルロドプシンを発現させ、光刺激を行った際の個体の行動の変化をみることで、Ptf1aリニエージ細胞の生体内で果たしている機能について明らかにしていきたいと考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] Ptf1a遺伝子改変マウスを用いた視床下部の発生および機能の解析2013

    • 著者名/発表者名
      藤山 知之, 長岡 麻衣, 熊ノ郷 晴子, 船戸 弘正, 川口 義弥, 鍋島 陽一, 星野 幹雄
    • 学会等名
      第34回国立精神・神経医療研究センター神経研究所研究所発表会
    • 発表場所
      東京国立精神・神経医療研究センターセミナーホール
    • 年月日
      20130321-20130322
  • [学会発表] A genetic analysis of hypothalamic development and function by using Ptf1a-genetically modified mice.2013

    • 著者名/発表者名
      藤山 知之, 長岡 麻衣, 熊ノ郷 晴子, 早瀬 ヨネ子, 船戸 弘正, 田中 智洋, 伊村 明浩, 柳川 右千夫, 小幡 邦彦, マーク マグヌソン, クリストファー ライト, 川口 義弥, 鍋島 陽一, 星野 幹雄
    • 学会等名
      第6回神経発生討論会
    • 発表場所
      理化学研究所和光キャンパス鈴木梅太郎ホール
    • 年月日
      20130314-20130315
  • [学会発表] A genetic analysis of hypothalamic development and function by using Ptf1a-genetically modified mice.2012

    • 著者名/発表者名
      藤山 知之, 長岡 麻衣, 熊ノ郷 晴子, 船戸 弘正, 田中 智洋, 伊村 明浩, 柳川 右千夫, 小幡 邦彦, マーク マグヌソン,川口 義弥, 鍋島 陽一, 星野 幹雄
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場・マリンメッセ福岡
    • 年月日
      20121211-20121214
  • [学会発表] A genetic analysis of hypothalamic development and function using Ptf1a-cre & Ptf1a-flox mice2012

    • 著者名/発表者名
      藤山 知之, 長岡 麻衣, 熊ノ郷 晴子, 早瀬 ヨネ子, 船戸 弘正, 田中 智洋, 伊村 明浩, 柳川 右千夫, 小幡 邦彦, マーク マグヌソン, 川口 義弥, 鍋島 陽一, 星野 幹雄
    • 学会等名
      第35回日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      20120918-20120921

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公開日: 2014-07-24  

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