研究課題
糖鎖は単糖類が多数重合した物質であるが,そのなかでも複合糖鎖と呼ばれる糖鎖は細胞表面などに存在する糖タンパク質に結合し,発生・分化・免疫・癌化・感染といった生体内のあらゆる局面で非常に重要な役割を果たす.質量分析法や液体クロマトグラフィー法などのような糖鎖に対する構造解析法の近年の急激な進展によって,複合糖鎖や,糖鎖認識タンパク質であるレクチンに関する情報が急速に蓄積されつつあり,糖鎖生物学の飛躍的な進展が期待されている.本研究において,複合糖鎖とレクチン結合予測を高精度で行うための手法の開発を目指した.本研究課題期間に特に糖鎖認識タンパク質であるレクチンに関して次のような進捗があった.(1)タンパク質データベースからのレクチンの配列情報の取得及びキュレーション,(2)局所フィッシャー判別分析を利用した配列情報からのレクチン予測,(3)レクチンを特徴付けるアミノ酸配列の推定.また,この課題に取り組む過程で局所フィッシャー線形判別分析という分析手法そのものに関する重要な知見が得られ,判別分析手法自体の拡張に繋がったことも成果の1つとなった.とりわけレクチン解析の際に生成されたような超高次元データに適用する際の問題点を克服することができた.得られた成果を今後積極的に発信し,開発したソフトウェアも配布する予定である.今後もさらに研究を続け,配列情報だけでなくレクチンの立体構造を考慮に入れた結合予測手法の開発などを目指していきたい.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bioinformatics
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