研究課題/領域番号 |
24810031
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
山本 誉士 国立極地研究所, 北極観測センター, 特任研究員 (70637933)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | オオミズナギドリ / データロガー / 海洋生態系 / 海洋環境 |
研究概要 |
本研究課題では、日本周辺の様々な海域で繁殖する外洋性海鳥・オオミズナギドリに動物搭載型データロガーを装着・回収し、彼らの採餌域の時間的・空間的変化から海洋生態系の動態を捉える。そして、海鳥の採餌行動データを海洋環境情報と併せて解析することで、環境変動が海洋生態系に及ぼす影響の把握・理解を試みる。野外調査は岩手県三貫島、伊豆諸島御蔵島、南西諸島仲ノ神島にあるオオミズナギドリの繁殖地で実施する。平成24年度は次年度(平成25年度)の調査準備および予備実験をおこなった。そこで、平成24年度には予備実験として、三貫島と仲ノ神島で繁殖するオオミズナギドリに、GPSデータロガーのテスト装着・回収をおこなった。データロガーを用いた研究では、装着個体を再捕獲し、データロガーを回収しなければデータを得ることができない。また、データロガーは高価である。そのため、確実にデータを取得(データロガーを回収)するための調査プロトコールの確立は、本研究課題を達成する上で重要である。また、仲ノ神島では繁殖地に帰巣したオオミズナギドリを捕獲し、胃洗浄法により胃内容物を採取した。3月に国立極地研究所においてそれらの試料の分析手法を修得し、遺伝子情報から種を特定した。 御蔵島の繁殖地には、オオミズナギドリのモニタリング用に人工巣箱が埋設してあり、調査ではそれらの巣箱で繁殖する鳥を用いる。人工巣箱の状態を良好に保つことにより、来年度に繁殖のために利用する鳥が多くなる。調査に用いる個体数を確保する上で、人工巣箱のメンテナンスは必須の作業である。そのため、24年度の11月に巣箱のメンテナンス作業をおこなった。また、次年度(平成25年度)の調査に向け、地元の人々との協力体制を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、調査準備および予備実験を計画していた。データロガーを用いた研究の予備実験として、三貫島と仲ノ神島においてGPSデータロガーのテスト装着・回収をおこなった。そして、データを取得するための調査プロトコールを確立した。また、仲ノ神島では、親鳥から胃内容物を採取し、遺伝子解析により餌種を特定する手法を修得した。御蔵島では、平成25年度の調査に向け、調査地のメンテナンスおよび地元の人々との協力体制を整えた。以上のような理由から、平成24年度は当初の計画通りに、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の予備実験と調査準備により、野外調査の実施およびデータ解析・分析のための体制は整った。平成25年度の調査では、各繁殖地で勢力的にオオミズナギドリの行動データと餌試料を取得し、得られたデータを海洋環境情報と併せて解析する予定である。
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