研究課題
本研究課題では、日本周辺の様々な海域で繁殖する外洋性海鳥・オオミズナギドリに動物搭載型データロガーを装着・回収し、彼らの採餌域の時間的・空間的変化から、それぞれの海域における海洋生態系のホットスポットおよび動態を捉える。そして、海鳥の採餌行動データを海洋環境情報と併せて解析することで、環境変動が海洋生態系に及ぼす影響の把握・理解を試みる。平成25年度には、熱帯海域に位置する南西諸島仲ノ神島で野外調査を実施し、GPSデータロガーを用いてオオミズナギドリの採餌行動を記録した。また、夜間に繁殖地に帰巣したオオミズナギドリを捕獲し、胃洗浄法により胃内容物を採取した。その結果、本海域におけるオオミズナギドリの餌の多くはイカ類とトビウオであった。採餌域は主に台湾の東側の斜面域で、顕著な採餌域の季節的変動は見られなかった。一方、台風の接近による海況悪化のため岩手県三貫島には渡島することができず、野外調査を実施できなかった。だが、三貫島から数十キロ離れた繁殖地において、昨年度に装着したデータロガー(ジオロケータ)が回収されたため、それらに記録されたデータを解析することで三陸海域におけるオオミズナギドリの空間利用情報を得ることができた。そして、海洋環境情報からオオミズナギドリの空間利用パターンをモデル化することで、気候変動(水温上昇)による採餌域の動態を明らかにした。その結果、水温の変化に伴いオオミズナギドリの採餌域は北上および沖合に変動した。熱帯海域では海水が温められて成層化するため、表層の生産性は全体的に低い。そのため、海水の混合により局所的に生産性が高くなる斜面域などでオオミズナギドリは餌を採っており、採餌域には顕著な季節変化が見られなかったと考えられる。一方、寒流と暖流が混在する三陸沖では、水温の上昇に合わせて生物の空間分布が変動していると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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