兵庫県内41市町を対象とし、東日本大震後の地域防災計画の修正状況を確認し、修正された地域防災計画とその関連計画における男女共同参画の反映状況と女性委員数を検証分析した。アンケート調査から防災委員の女性数が、東日本大震災以前より増加したところが兵庫県内41市町中22市町あることが明らかとなった。行政の中で女性委員を入れる必要性が認識され始めたと考えられる。 しかし、女性委員の割合のみを増加させれば、すべての地域防災計画に男女共同参画の視点が多く反映されるというわけではなく、兵庫県三木市のように女性の委員の公募やワークショップを事前に行ったり、他市のように女性部会を設置し議論するなど、女性参画のプロセスを重視した地域は地域防災計画に男女共同参画の視点が多く入っていることが明らかとなった。男女共同参画の視点をどのように取り入れるかは、男性職員の多い危機管理担当部局や防災委員会において議論するだけではなく、女性が自由に意見を言える場が作られた市においては具体的に反映される結果に到ったと考えられる。またこの取組みは今後策定される地区防災計画においても重視されるべき点であり、よりきめ細やかな対応が行政側に求められる。 また南三陸町の避難所14か所へのヒアリングインタビューを実施した。その際に、ジェンダーに関連する項目として、スフィアスタンダードの分類に属してヒアリングを行った。その結果、給水、衛生、食糧、食糧外物資、居留地、保健などすべての分野においてジェンダーへの配慮が欠けていたことが明らかとなった。文化的にも近隣住民の助け合いが強いなかで、男女の固定役割が強化され、炊き出しについては避難所リーダーに女性が不満が出されるなどの特徴がみられた。男性が緊急雇用などで外へ働きにいけるようになる頃にはそのような避難所で炊き出しなどを行う女性たちにも同様の対策が求められる。
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