• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

ソヴィエト・ロシア建築の全体主義化においてマスメディアの果たした役割の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24820002
研究機関北海道大学

研究代表者

本田 晃子  北海道大学, スラブ研究センター, 非常勤研究員 (90633496)

研究期間 (年度) 2012-08-31 – 2014-03-31
キーワード建築史 / 表象文化論 / メディア論 / ソヴィエト建築
研究概要

平成25年度中の研究では、スターリン期の建築とマスメディアの関係を解き明かすために、主として映画の中に描き出されたモスクワ再開発計画を論じた。具体的には、アレクサンドル・メドヴェトキンの監督作品『新モスクワ』(1938年)をとりあげ、下記の観点に基づいて同作品内における首都モスクワの形象を検証した。
『新モスクワ』の特徴のひとつが、この作品全体を貫くダイナミズムである。主人公らのシベリア(周辺)からモスクワ(中央)への移動、モスクワ内での地下鉄等の公共交通機関を用いた移動に加え、同映画中では再開発のために建築物までもが街の中を移動する。『新モスクワ』は1935年に策定されたスターリンの首都再開発計画の礼賛を目的として制作された映画であるが、このようなダイナミズムへの志向は、むしろ1920年代のアヴァンギャルド文化の文脈に連なるものである。したがって本研究では、『新モスクワ』の目的と表現手段の間には矛盾が存在し、同作品が社会主義リアリズムとアヴァンギャルドというこれまで二項対立的に論じられてきた2つの文化の境界線上に位置するものであったことを指摘した。
『新モスクワ』のもうひとつの興味深い点が、モスクワ・イメージの分裂である。同作品内では複数のモスクワ・イメージ、すなわち主人公たちの暮らす都市モスクワ、主人公たちの手によって作り出された運動するモスクワの模型、それを元に主人公らによって作成された現在から未来までのモスクワを描いた映像、そしてモスクワをモデルに建設されたシベリアの町が出現する。本研究では、これらの分裂・増殖するモスクワ・イメージが上述の主人公らの運動によってもたらされたものであり、さらにこのようなシミュラークル的イメージとは、モスクワを唯一無二の特権的空間として位置付けようとしたスターリンの首都再開発計画と真っ向から対立するものであったことを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
理由

25年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

25年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 映画は建築する――『輝ける道』に見る社会主義リアリズムの象徴空間2013

    • 著者名/発表者名
      本田晃子
    • 雑誌名

      ロシア語ロシア文学研究

      巻: 第45号 ページ: 182-204

    • 査読あり
  • [学会発表] 墓廟から神殿へ: レーニン廟とソヴィエト宮殿にみるレーニンの建築表象の変遷

    • 著者名/発表者名
      本田晃子
    • 学会等名
      日本ロシア文学会北海道支部
    • 発表場所
      札幌大学(札幌市)
  • [学会発表] Architecture in the Media: Ivan Leonidov’s Virtual City in the Architectural Journal SA

    • 著者名/発表者名
      Akiko Honda
    • 学会等名
      The Fifth East Asian Conference on Slavic Eurasian Studies
    • 発表場所
      大阪経済法科大学(八尾市)
  • [学会発表] 動く都市/静止する都市――アレクサンドル・メドヴェトキンの『新モスクワ』

    • 著者名/発表者名
      本田晃子
    • 学会等名
      日本ロシア文学会
    • 発表場所
      東京大学(文京区)
  • [学会発表] 地下鉄的想像力――ソヴィエト・ロシア映画における地下鉄空間イメージの変遷

    • 著者名/発表者名
      本田晃子
    • 学会等名
      表象文化論学会
    • 発表場所
      東京大学(目黒区)
  • [図書] 天体建築論――レオニドフとソ連邦の紙上建築時代2014

    • 著者名/発表者名
      本田晃子
    • 総ページ数
      343
    • 出版者
      東京大学出版会
  • [図書] Image of the Region in Eurasian Studies2014

    • 著者名/発表者名
      Sergei Lyubichankovsky, Svetlana Kovalskaya, Keiji Sato, Raj Kumar Kothari, Sobhanlal Duttagupta, Dmitry Seltser, Minori Takahashi, Joyshree Roy, Umedjon Majidi, Nandini Bhattacharya, Anwesha Ghosh, Akiko Honda, Rashmi Doraiswamy, Munira Shahidi, Reyaz Mohamad, Michael Nicholson, Isabelle Faure Jaitly
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      Maulana Abul Kalam Azad Institute of Asian Studies

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi