アリストテレスの自然哲学には四元素説や質料形相論に還元されない物体観、たとえば「2つ以上の物体は同じところに存在しない」や「感覚的物体は分割可能である」が混在していること、これら物体観をギリシア自然哲学の多くが共有していたことを確認した。また、ギリシア自然哲学の展開は物体の分割性にまつわる問題の発見と解決案の提示によって織りなされた、という発展史的整理が示唆された。それらの問題を概説的に言えば、物体を分割しても残る素材的原理は何か、その原理はいかなる特性を持つか、その原理から物体が生成する規則はどのようなものか、そして原理から物体に熱や色などの諸性質はどのように発生するか、という問いである。
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