研究課題/領域番号 |
24820014
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
澤井 一彰 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (80635855)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | 東洋史 / オスマン朝 / 環境史 / 地中海世界 / 自然災害 |
研究概要 |
初年度である2012年度の研究実績は、次の通りである。まず、5月27日に東京外国語大学で行われた2012年歴史学研究会大会において報告した、「1509年のイスタンブル大地震とその後の復興-「この世の終わり」と呼ばれた大震災」が活字化され、『歴史学研究』898号に掲載された。 また、12月8日には、東北学院大学で開催された、ヨーロッパ文化総合研究所公開講演会「エルサレム、カイロ、イスタンブル―オスマン帝国とヨーロッパが出会った街―」において、「ヨーロッパ人が見た16世紀後半のイスタンブル」と題する報告を行った。 さらに、2013年1月2日から8日にかけては、ニューヨークのメトロポリタン美術館付属ワトソン図書館において、関連史料の調査・収集を行った。 加えて、2013年2月5日から3月6日までは、イスタンブルの首相府オスマン文書館において、主として枢機勅令簿のうち16世紀末に作成されたものを中心とした史料調査を行い、3月7日から14日まではパリのフランス国立図書館において関連資料の調査と収集を実施した。 最後に、2012年6月16日に早稲田大学早稲田キャンパスにおいて行われた比較都市史研究会において発表した「1563年のイスタンブル大洪水―大河なき都市を襲った水害」と題する方向についても、既に活字化が終わっており、近日中に雑誌論文として掲載される予定である。 以上が、2012年度の研究実績の概要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にも記したように、2012年度においては、イスタンブルの首相府オスマン文書館とパリのフランス国立図書館における史料調査に加えて、ニューヨークのメトロポリタン美術館付属ワトソン図書館においても調査を実施することができた。このことは、当初の計画以上の進展であったと言える。 ただし、もっとも多くの関連史料を有するが故に、もっとも多くの調査時間が必要である首相府オスマン文書館が急遽移転されることになり、移転作業に伴う一時閉鎖が、現地滞在中の2月中旬に突然発表された。そのため、同文書館は移転前に史料調査を行おうとする研究者たちが国内外から大挙して押しかけ、大変な混雑となった。このため、同文書館で行う作業に、一部遅れが生じたことも事実である。ただし、この遅れは2013年4月に開館が予定されている新たな国立文書館において本年度に行う二度の追加調査によって、十分に取り戻すことが可能であると考えている。 以上の状況に鑑み、現在までの達成度については「(2)おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も、史料調査の場所を新たにイスタンブルで開館する国立文書館(首相府オスマン文書館が移転)に移して継続する。主要な調査対象は、17世紀に作成された枢機勅令簿と、財務省移管文書フォンドに含まれる文書群である。 また今年度は、従来の計画通り、ヴェネツィアの国立文書館においても関連する史料の調査を実施する。いずれの調査も、可能であれば夏期に行いたいと考えている。加えて、冬期にもイスタンブルなどで最終的な史料収集ができるようであれば、これについても実施を予定している。 また、今年度は本研究課題の最終年度にあたる。2年にわたる研究期間を総括する研究成果の報告については、昨年度と同じく、学術論文の執筆や学会などでの口頭発表のかたちで実施していくことを予定している。
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