2013年度における研究実績は以下のとおりである。まず、口頭による研究報告としては、2013年7月に國學院大学で開催された地中海学会の定例研究会において、「16-18世紀のイスタンブルにおける歴史地震」と題する発表を行った。また、同10月には、東京外国語大学、アジアアフリカ言語文化研究所が主催するプロジェクト「近世イスラーム国家と多元的社会」の研究会において、「イスタンブル大震災とその後の復興―1509年と1766年の大地震を事例として―」という発表を行った。 研究論文としては、「1563年のイスタンブル大洪水―大河なき都市を襲った水害―」が『歴史評論』に掲載されたほか、「「ハラール」と「ハラーム」のはざまで―オスマン帝国における発酵食品とアルコール飲料―」が『早稲田大学アジア・ムスリム研究所リサーチペーパー・シリーズ Vol.3 食のハラール』に、「オスマン帝国とその「ヨーロッパ」的特性―君主一族・支配者層・臣民の多様性―」が『ヨーロッパ文化史研究』に、それぞれ載録された。 最後に海外における史料調査は、2013年8月にイタリアの国立ヴェネツィア文書館およびトルコの首相府オスマン文書館において実施した。また、2014年2月には短期間であったがトルコの首相府オスマン文書館を再び訪れたほか、オランダのライデン大学図書館においても関係史料の調査と収集を実施した。こうした一連の史料調査によって、関連する史料の収集は、概ね完了させることができた。以上の史料調査の成果の一部は、すでに述べた研究報告や研究論文として公表されており、今後も順次、研究成果を発表していく予定である。 以上が、2013年度における研究実績の概要である。
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