本研究は、19世紀に開催された全5回のパリ万博の内、日本が参加した4回の万博(1867年、1878年、1889年、1900年)に焦点を当て、フランスと日本の相互作用を通じて、いかなる「日本」像が形成されたのか、その形成過程および変遷を明らかにすることを目的とする。平成25年度は、主に次の2点の研究を遂行した。 1.1867年と1878年パリ万博に関する研究の総括 前期二つのパリ万博に関しては、継続的に調査研究を行い、主に次の成果を得た。第一に、これら二つのパリ万博を取り上げて、いかなる経緯で1870年代にフランスで「ジャポニスム」が生まれたのか、その社会的背景を分析し、論文にまとめた。また、「19世紀フランスにおけるジャポニスム」と題する口頭発表(招待講演)を行った。そして第二に、平成24年度から継続的に研究を行ってきた前期二つのパリ万博で主要な役割を果たした日本人、とりわけ徳川昭武と前田正名に焦点を当てた研究をまとめ、口頭発表(招待講演)した。この発表内容については、論文にまとめて発表する予定である。 2.1889年・1900年のパリ万博に関する史料調査および分析 後期二つのパリ万博に関しては、平成24年度に行ったフランス国立文書館の万博史料を整理し、分析を進めた。またこの作業と並行し、フランス外務省文書館の万博史料の調査を行った。以上の調査を通じ、後期のパリ万博にかかわる主要史料の収集を終えた。また現在、万博を含めた国際博覧会を統轄する博覧会国際事務局(BIE、パリ本部)の資料室において、同事務局が発行する報告書等の調査を行い、20世紀以降の万博の変遷について整理した。
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