研究課題/領域番号 |
24820029
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
難波 彩子 岡山大学, 言語教育センター, 准教授 (00638760)
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研究期間 (年度) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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キーワード | リスナーシップ / 通文化的語用論 / アイデンティティの構築 / 家族会話 / 社会言語学 |
研究概要 |
本研究の目的は、通文化的語用論の視点に立ち、家族会話の中で聞き手が果たす貢献「リスナーシップ」が相互構築の達成や社会的アイデンティティの構築に向けていかに重要な役割を果たしているかについて明らかにすることである。 この研究目的を達成するために、平成24年度は3種類のデータ収集(家族の自然会話・インタビュー・アンケート)に焦点を置いて研究実施計画を遂行した。研究計画当初は日本人母語話者からなる5~6家族のデータ収集を予定していたが、最終的には関東・関西・岡山に居住する9家族のデータ収集を完了した。詳細としては、自然会話は各家族に5回食事の会話の録音を要請した。会話の様子を踏まえながら、その後フォローアップインタビューを各家族の自宅にて両親または母親に行い、録音会話の内容や普段の家族の様子などについてインタビューした。自然会話やインタビューを踏まえてアンケート調査を行い、家族会話の詳細な情報を得ることが出来た。併せて研究補助者の協力を得ながら、アンケート調査や会話参加者に関する資料の電子化と整理を行った。 上記のデータ収集にもとづいて、国内の科学研究費プロジェクトに関わる研究者と研究の進行状況や今後の計画について打ち合わせを行った。国外での打ち合わせでは、イギリスの談話分析や社会学を専門とする研究者らとデータ収集や方法論などについて研究討議を進め、本研究の今後の進め方について助言を得た。さらに、日本語用論学会(H24年12月)や筑波大学主催の現代語・現代文化フォーラム(H25年2月)の招聘講師として笑いに関するリスナーシップの研究の発表を行った。また、英語教育におけるリスナーシップの研究について研究論文も発表した(H25年3月第42回日本英語教育学会)。これらの結果を本研究データの分析に生かしながら引き続き調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度の研究実施計画は自然会話・インタビュー・アンケートのデータ収集の完了であったが、すべて年度内に終了した。研究計画の段階では当初5~6家族の協力を目指していたが、最終的に9家族の協力を得ながらデータ収集を行うことができた。自然会話の収集についても各家族で食事3回分程度の会話録音を計画していたが、すべての家族で5回分の会話録音に協力してもらうことができた。さらに、アンケート調査や会話参加者に関する資料の電子化と整理もすでに開始し、間もなく完了する。これらのデータ収集の達成に加えて、国内外の研究者らとデータ収集や方法論などについても報告やアドバイスを継続的に得ることができた。また、以前から行ってきた笑いに関するリスナーシップの研究や英語教育におけるリスナーシップの研究についても、本研究成果に関連づけて再検討して発表を行っている。以上のように、本年度の研究実施計画はおおむね達成されており、引き続き研究計画の実施に取り組んでいく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度の主な研究実施計画であったデータ収集を完了したことを受けて、今後はデータの書き起こしを順次進めていく。その際、書き起こしと分析を同時に進めていきながら、研究成果発表の準備を行うことが期待される。また、国内外の研究会・学会などの参加を通して、関連研究者らと分析や考察についての助言を得ながら研究成果の発信を目指す。
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