研究概要 |
科研の申請書で述べた通り、調査、図書購入、研究会での論文発表、必要に応じて翻訳補助者と共に研究、研究に関連する場所への出張を行ってきた。本研究の初段階として、1995年に発表した博士論文の再読を行い、今後の研究テーマを選択し、続いて著書に記載した参考文献(一次資料及び論文)の精読に取り組んだ。さらに奈良仏教視覚文化および中世や中国に関する図書の購入も行った。(『初唐仏教美術の研究』 (肥田路美著), 『平安時代彫刻史の研究』(伊東史朗著)、『奈良仏教と在地社会』 (根元誠二, サムエルシーモース編), 『神仏と儀礼の中世』 (舩田淳一)等)。また、漢文図書の精読に際して翻訳が必要であったため、日本語と漢文の翻訳補助者をつけ翻訳活動を開始した。国内調査として、京都や奈良の寺院、美術館等へ調査に行き、薬師寺、新薬師寺のお堂での薬師信仰研究に着手し始めた。9世紀からの真言密教(いわゆる「密教」)と8世紀の奈良時代の雑密(いわゆる「古密教」)の違い、また平城京に存在する古密教の定義を検討段階である。昨年12月、高野山の金剛峰寺および高野山霊宝館、京都の教王護国寺(東寺)の宝物館において密教美術仏像の調査を行った。国際調査として、昨年11月にカナダのブリティッシュコロンビア大学の会議で仏教美術に関する論文発表、今年1月および3月にボストン美術館で唐時代密教関係彫刻の調査を行った。本年度の研究成果は著書の一部として将来的に出版する予定である。
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