1.国内外の調査 本研究では、奈良時代のいわゆる「古密教」の定義とその仏像、仏画と儀礼の関係を明らかにするため、実地調査を行った。 a.海外 韓国の慶州における古代密教美術の調査(慶州国立美術館)、アメリカボストンにおける密教絵画の調査(ボストン美術館)を行った。 b.国内 奈良を中心として、京都、滋賀、高野山の寺院における近年の御堂の修理と発掘調査成果の調査を行い、特に近年の東大寺法華堂と新薬師寺の伽藍の発掘成果を確認したことは、当該研究に有意義であった。奈良を中心とする密教の地方性と、その共通点について研究を進めた。 2.国内外の学会 美術史学だけではなく、仏教史学の研究者を交えた研究会を主催、またそれに参加することで多角的な視点から古代仏教美術の議論を行った。 a. 2013年6月の韓国桐華寺とコロンビア大学の共催学会「東洋での薬師信仰と美術」へ参加、議論を行った。b. 2014年1月に九州大学において国際ワークショップ「神仏習合と密教」を開催し、コロンビア大学より宗教史学者Michael Como 氏、アムハースト大学より美術史学者Samuel Morse氏 、ロンドン大学より宗教史学者Lucia Dolce を招聘、発表と大学院生を交えた議論を行った。 3. 古代密教に関する書籍の購入と奈良時代の古文書、寺院資材帳の翻訳を行った。薬師寺薬師如来台座についての研究が進み、現在論文を執筆中である。
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