本研究の主たる目的は若年層(20代)ソウル方言話者の〈n挿入〉実現実態を闡明するところにある.そのために,本研究では,若年層ソウル方言話者を対象にインフォーマント調査とその分析を行なった. その結果,若年層ソウル方言話者の〈n挿入〉実現如何には,総じて後行要素の頭音が最も大きく関わっていること,また,後行要素の長さ,先行要素の末音,なじみ度,語構造,後行要素の第1音節の音節構造,語句の長さなど,多種多様な要因が抗衡しつつ,重層的に関与していることを明らかにした.こうした様相はいわゆる規範と懸隔しており,社会言語学的にも興味深いものである.
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